「構想26年」…話題のミステリ、小説をコミカライズ 電子コミック市場で後発の「ハヤコミ」勝算を聞いた
サイトの「キラーコンテンツ」
――どういうことでしょうか?具体的に教えてください。 版権を購入してくれる海外出版社の獲得が狙いです。特に、翻訳ものに強い弊社としては海外のエージェントとの間に長い実績と信頼関係があり、版権の大商談会でもヨーロッパ系からアジア系まで幅広い取引先を視野に入れて臨みました。各国の取引先がそれぞれのプラットフォームと言語で版権購入した作品を公開してくれれば、結果として世界中の読者に「ハヤコミ」の漫画を届けることができる。それが「ハヤコミ」が生き残るための戦略であり生命線です。 ――版権の売れゆきは?手ごたえのあったコンテンツを教えてください。 アガサ・クリスティー作品が好調です。海外でのキラーコンテンツになりつつあります。現在7か国(フランス、イタリア、中国、タイ、ブラジル、トルコ、ハンガリー)に版権が売れていて、さらに2ヶ国交渉中です。なかでもクリスティーの代表作の一つ、クローズド・サークルもので映像化も何度もされている『そして誰もいなくなった』が人気です。 ――国内での反響の高い作品は? 「同志少女よ、敵を撃て」です。こちらも人気作品となっておりコミカライズを担当してくださっている鎌谷さんは「隠の王」(なばりのおう)などでとても熱狂的なファンを持つ漫画家さんです。その絵柄と作家性が「第二次世界大戦下、ドイツ軍に母を惨殺され、復讐のため赤軍の狙撃兵になることを決意したヒロインの物語」という「同志少女」の世界観にピタリとマッチしました。こちらは12月11日にコミックス発売も決定しています。
あらゆるベクトルが一致した
――書籍化もするのですね。 発売を知らせた際の書店での感触も良かったです。「鎌谷さんが描くなら一等地に置きます」と言っていただきました。実は、原作者の逢坂さんもコミカライズするなら鎌谷さんで、と以前から思っていたそうで、それが叶いました。あらゆるベクトルが一致した、と感じています。また同時期に新潮社さんの2024年度の本屋大賞受賞作『成瀬は天下を取りにいく』のコミカライズが書籍化されるとも聞いており、いずれも同賞のコミカライズ作品であるということから両作に注目が集まると嬉しいですね。
新たなる企画が進行中
今後の展望について「来年は『ABC殺人事件』や「オリエント急行の殺人」などクリスティーの有名作品をどんどんコミカライズする〝クリスティーイヤー〟にしたい」と意気込みを語る吉田編集長。 さらに続けて「まだ社内でもほとんど知られていない『極秘プロジェクト』が進行中です。これを漫画化するのか!?ときっと多くのみなさまに驚いてもらえるはずです。今後サイトにて発表できたらと思いますので、ぜひ『ハヤコミ』をのぞきに来てくださいね」(吉田編集長)と明かしてくれました。どのような新機軸を打ち出してくれるのか楽しみに待ちたいですね。 (まいどなニュース特約・山本 明)
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