画像診断で認知症の原因はわかる?/医療ジャーナリスト・安達純子
「新薬登場で重要度が増す~認知症の早期発見と予防」<12> 認知症といっても、早期段階から物忘れが特徴的なアルツハイマー病、脳血管障害による血管性認知症、幻視や手足のしびれなどが特徴的なレビー小体型認知症、脳の前頭葉や側頭葉の機能が低下する前頭側頭型認知症などいろいろある。アルツハイマー病は脳の海馬が萎縮するのが特徴だが、他の認知症では別の脳の異変と障害が進む。その診断法として、AIを用いたMRI画像検査の将来的な活用が期待されている。 「私たちが共同研究で2024年7月に公開した『AIを用いた脳容積解析ソフトウエア』は、脳の107区域の容積の解析が可能です。それぞれの萎縮する特徴的な脳の部位がわかれば、それをAIに機械学習させることで、将来的にはMRIによる診断ができる可能性はあります」とは、順天堂大学保健医療学診療放射線学科の後藤政実先任准教授。MRI研究を長年行う専門家で、新たなソフトの精度について研究に取り組んでいる。 アルツハイマー病は海馬の萎縮が特徴的だが、レビー小体認知症は大脳の表面の大脳皮質や脳の下部の脳幹に蓄積しやすいといわれ、前頭側頭型認知症は脳の前方に異変が見られる。この特徴がより明確になれば、AIによるMRI解析が可能になるという。 「画像の見た目は大きな変化が見られなくも、AIソフトで容積を調べると変化が見られるような事象も、今後ありえると思います。そういった情報の蓄積によって、将来的にはMRI検査で認知症の種類までも推測可能になるかもしれません」と後藤先任教授は話す。