<東日本大震災4年>コンパクトシティ構想打ち出す山元町 住民合意形成の難しさ
町長の進め方を批判する声
いま山元町では、町長が発表した基本構想に基づいて、それぞれ個別の課題ごとに復興計画を進められています。ところが「町長の手法が強引だ」として、町議会が一斉に反発する事態となったのです。2013年12月には、議会で町長の問責決議が全会一致で可決。2014年4月の町長選挙では、町長を推す議員と対立候補を推す議員が真っ二つに割れ、斎藤氏が辛くも再選し、町長のコンパクトシティ構想が進められることになりました。しかし山元町の遠藤龍之議員は、選挙後は町議会の運営までも町長の独断専行が激しいと批判しています。 「町長は、町民との合意形成を図ろうとしないし、議員や職員との意思疎通にも欠けている。一昨年末の問責決議では全会一致だったが、選挙後の町議会は、町長に従う議員と従わない議員が7対6になった。それからは、誰が何を言おうと町長が強引に議決して、何も聞こうとしない」 こうした町長の強引な進め方は 、昨年の選挙では町長に一票を投じた町の人たちから批判が出ています。「町長が人の話を聞かな過ぎるから議会が割れるんだ。もう少し人の話を聞かないとダメだ」(50代男性)。 今年2月、斎藤町長は、仮設住宅について入居期間を一律に再延長しない方針を明らかにしました。来年夏に5年間の期限を迎える仮設住宅ですが、それまでに移転が適わない住民には1年間の「特例延長」を設けると説明するものの、仮設住宅の住民からは戸惑いの声も上がっています。『河北新報』(2月15日付)によると、斎藤町長は「被災者に自立を目指してもらう目的で取り組んでいる」と説明。「基本は自立だが、まだ難しい人も一定数いる。個々のケースを把握し、(対象外でも)それに応じた支援のありようを検討したい」と発言しています。 しかし町の調査に対して、無回答の世帯は特例延長の対象から外れます。個々に事情を抱えて自立再建の計画が明確に出来ない住民に対して、まずは仮設住宅から出ていくことを突きつけるやり方に反発が生まれているのです。 前述の遠藤議員は「我々が主張しているのは、町民が十分に納得できる話し合いが進んでいるのかということ」と言います。 例えば、2016年末にはすべて完成する予定になっている新しい3つの市街地で、宅地の分譲が決まったのは7割弱に留まっています。災害公営住宅への移転も、まだ全体の3割強。せっかく作られた新市街地でも、住民が集まらなければ地域経済が回らず、商業エリアが活性化されることはありません。「中心地になる『新山下駅周辺地区』は何とかなるかもしれない。しかし、あとの2つの新市街地は、本当に計画通りに人や店で賑わう町になるのか、まったく不透明だ」と遠藤議員は指摘します。