<東日本大震災4年>コンパクトシティ構想打ち出す山元町 住民合意形成の難しさ
「復興を止めてはいけない」
町民から戸惑いの声が聞こえるとはいえ、町長が再選したことからも分かるように、復興計画は概ね支持されています。 震災前には坂元駅近くにあった自宅が津波で流され、現在は仮設住宅で暮らす上原イチ子さん(82歳)は「いま町長が変わってしまったら、復興が止まってしまうでしょ。途中で変わるのはオカシイ」と言います。避難先を転々とした後に仮設住宅に入居しましたが、新市街地の集団移転先に造成される土地が今年6月ごろには引き渡される予定で、年内には自宅が再建できるそうです。 「やっぱり仮設住宅は窮屈。それでも慣れてきちゃったけど、やっぱり早く一戸建ての家に住みたい」 いま被災地では、建設現場の人出不足・資財不足が深刻で、上原さんの家を建てる工務店でも大工職人を確保するのが難しいそうです。さらに、移転先では震災以前の半分の土地しか分譲されません。庭や畑で野菜が作れなくなるのは残念と言う上原さん。それでも、ようやく自宅が新築できる目処が立ち、新居の出来上がりが待ち遠しい様子です。上原さんが震災前に住んでいた地域の人の多くが、同じ市街地に集団移転ができるので、それまでのコミュニティも継続されるので安心だと言います。 「今から人が減ってくばっかで、人が増えていくって事はないでしょ。人が少なくなるんだから、町がコンパクトになる方がいいでないかって思う。復興計画が無事に進んでいって欲しい」
「住民が納得できる復興を」
こうして復興が着々と進む中、「新山下駅周辺地区」の造成地にあった農地の地権者であるKさんは、復興計画を強引に進めるやり方に納得できないと話します。Kさんは農地も自宅も津波被害に遭い、現在は仮設住宅で暮らしています。 Kさんは、「新山下駅周辺地区」など復興計画の対象地区のなかで約1.6ヘクタールの地権者ですが、すべてを拒否しているわけではありません。新しくJR常磐線の線路となる土地など、復興計画に欠かせない土地約1ヘクタールの売却には応じています。残ったのは、新山下駅となる周辺で、売却に応じなくても復興作業が遅れない土地の売却に限って拒否しているのです。