日本の輸出先1位は中国じゃなかった/木暮太一のやさしいニュース解説
日本企業の能力を見直すきっかけに
実際にA国が100万ドルの商品を売ったとしても、そのうち90万ドル分が海外で生産された部品だったとしたら、そのA国の経済的な力は10万ドル分になります。 これまでの統計では、世界経済の中で誰が力を持っているのか、を見誤る危険性があったわけです。 この統計が浸透すれば、経済の実態を的確に把握できるようになります。 これにより日本の商品がじつはアメリカに多く輸出されていたことが明らかになり、アメリカからの圧力が強くなる懸念もあります。しかし、同時に日本企業の“付加価値生産能力”(要するに、“いい商品”を作る能力)が世界的に見直される機会でもあります。私はこの統計がきっかけになり、より日本企業が世界から注目されることを期待しています。 ----- 木暮 太一(こぐれ・たいち) 経済ジャーナリスト、(社)教育コミュニケーション協会代表理事。相手の目線に立った伝え方が、「実務経験者ならでは」と各方面から高評を博し、現在では、企業・大学などで多くの講演活動を行っている。『今までで一番やさしい経済の教科書』、『カイジ「命より重い!」お金の話』など著書35冊、累計80万部。