感情を察知してくれる「コンパニオンロボット」、中国スタートアップが開発 若年層女性をターゲット
AI活用のコンパニオンロボットメーカーの「珞博智能(Robo Intelligence)」は、今年半ばにエンジェルラウンドで1000万元(約2億円)規模の資金調達を完了したことがわかった。 珞博智能は2024年1月に設立され、AI(人工知能)を搭載したコンパニオンロボットの研究開発に取り組んでいる。コア製品は「AIを搭載したアートトイ」と位置付けられ、すでに3種類のプロトタイプの開発が完了し、初めての製品が来年にもリリース、量産される予定だ。 創業者の孫兆治氏は、新興EVメーカー・小鵬汽車(Xpeng)傘下のロボット企業「鵬行智能(Xpeng Robotics)」でプロダクトデザインの責任者を務めた人物で、業界内でも著名な工業デザイナーだ。 生成AIが急激に発展するのに伴い、人間に寄り添うロボットに対する起業家の関心が高くなっている。中国だけでも「億家億伴」「奇点霊智」「躍然創新(Haivivi)」「貝陪科技」などのスタートアップがあり、いずれも「パートナーとなる」AI搭載デバイスの開発に注力しているが、その対象の多くは子どもたちだ。 珞博智能は対象を若年女性と設定し、差別化を図っている。孫氏によると、若い女性が気持ちに寄り添い、慰めてくれる存在を強く求めていることはすでに市場で検証されているという。AIフレンドのようなソフトウェアの主なユーザーは若い女性で、これまでに人気のあったペット育成の電子ゲーム「たまごっち」や、スマホゲームアプリ「旅かえる」、任天堂の「どうぶつの森」シリーズなど、いずれもユーザーの中心は女性だった。 また、ロボットは部屋に置いたり、持ち出したりすることができる。動きも自由で、豊かな表現能力を備え、ユーザーと生き生きとしたやり取りを楽しむことができるようになっている。 スマホのAIアシスタントとは異なり、コンパニオンロボットはユーザーの感情を察知し、ユーザーに関わる情報を記憶するといった基本的機能が必要になる。同社の初製品ではマルチモーダルLLMのRTC(リアルタイムコミュニケーション)技術を応用することで、音声や動画のやり取りの際に発生する遅延を大幅に改善し、長期記憶、自主学習、人格形成といった革新的機能を持たせることができた。 コンパニオンロボットはこの数年間に目覚ましい発展を遂げ、AI関連で最も成長が速い分野のひとつとなり、大きなポテンシャルを秘めていることが広く知られるようになった。騰訊研究院(Tencent Research Institute)が最近公表したレポートによると、欧米市場に比べ、中国にはコンパニオンロボットが普及する環境が備わっており、今後3年から5年のうちに市場は1000億元(約2兆円)規模にまで拡大すると予測されている。 孫氏は「来年はコンパニオンロボット元年になる」とし、企業としてロボットに感情という価値を付与することに注力し、この分野を代表するブランドになりたいと語った。 *1元=約21円で計算しています。 (翻訳・36Kr Japan編集部)