イタリア野菜栽培で地域活性化を 下豊富の30~50代10人で結成する農家グループ「アグリージョ」/京都府・福知山市
京都府福知山市下豊富地区の大地で育つ、彩り豊かなイタリア野菜。地元で暮らす30~50代の専業農家と兼業農家の10人が栽培している。野菜の色や種類が豊富なように、メンバーの職業も会社員、調理師、農家などとさまざまだが、耕作放棄地が増え続けるなか、「面白い農業に挑戦し、地域に夢と希望を与えたい」との目的は共通している。 栽培グループは、「京都丹波イタリア野菜Agri―gio(アグリージョ)」。Agri―gioは、イタリア語の「agricoltura」(農業)とイタリア人の名前で使われ、農園主の意味もある「Giorgio」を組み合わせた。 農業が盛んな下豊富地区だが、時代が進むにつれ農業をする人は減り、耕作放棄地は増えていった。そんなとき、代表の田辺良さん(52)=大門=らが、Uターンして農業をすることになり、同世代の仲間たちが集まって将来の農業について話す機会があった。
続けられる農業へ勉強会を重ねる
「同世代の人が、どのような農業なら続けられるのか」「どうしたら同年代が農業をしようと思えるか」といったことを学ぶため、2022年6月から月1回、勉強会を重ね、府中丹西農業改良普及センターの職員や農業経営者らから話を聞くなどした。やがて、「一つのチームとして何かをしよう」という話題が持ち上がり、野菜の栽培をして農業経営を実践することにした。 イタリア野菜を選んだのは、調理師の樋口涼太さん(38)=額塚=が、すでに栽培していたこと。ほかのメンバーに「イタリア野菜どうですか」と声を掛けたところ、見たり食べたりして「面白い」と感じ、「珍しい物を作ったら、買いたいという人がいるのでは」と盛り上がった。 野菜はメンバーが所有する畑で作るほか、拝師にある約1㌶の耕作放棄地を借りて栽培。カリフラワーの一種「ロマネスコ」、カラフルなミニサイズのニンジン、ズッキーニなど年間を通して約30種類を育てている。
ネット販売中心に都市部へ
関東の種苗会社から種を仕入れ、大型機械は使わず少量・多品種生産。ネット販売が中心で、京都、大阪のホテルや青果店に卸したり、JA京都にのくにの彩菜館福知山店=新庄=で販売することもある。昨年11月には大江町で開かれた森の生活舎主催の「ゆっくりじっくり冬じたく」でも、カラフルなニンジンなどを並べるとほぼ完売した。 まだまだ少額の売り上げにとどまっているが、メンバーが卒業した修斉小学校の校訓「真面目に働き世の為に尽くせ」の通りに、次の世代に豊かな地域をつなげられるように、農業を通して誰もが夢と希望の芽を育て、大きな家族のような地域を作ることを目標にしている。 会社員の小林稔典さん(50)=拝師=は「農家は個人の仕事で、その家のやり方がありますが、ほかの人の栽培方法を見て勉強になったり、自分の方法で良かったんだなと思うこともあり、仲間と一緒にするメリットがあります」と話す。 同グループは「イタリア野菜の栽培技術を高め、多くの人から信用が得られるグループになりたい。アグリージョの野菜は間違いないと、多くの人に言っていただける存在になり、少しでも耕作放棄地を減らせるようにしたいので、応援していただければ」と呼びかけている。