「暑さは恐怖に変わりました」経験者が語る、熱中症より怖い “熱中症後遺症”の正体
「観測史上最も暑い日」 7月23日、欧州連合(EU)の気象情報機関『コペルニクス気候変動サービス』が、世界平均気温が17・09℃で、1940年からの観測史上、最も暑い日となったことを発表した。日本でも各地で40℃近い最高気温を記録している。 【写真】命を守るために熱中症になった時、ならないためにすること
熱中症の後遺症
「急に目が回って、倒れ込んで。頭が朦朧としていてあまり記憶がないですが、病院に搬送されました」 この危険な暑さで怖いのが『熱中症』。30代の女性は数年前に熱中症となり、倒れた際をこのように振り返る。 「病院で点滴を受けて、数時間休んで帰宅しました。当日は身体のダルさは残りましたが、それほどつらいということはなかった。ただ、熱中症になって以降、すっかり身体が以前と変わった感じで」(30代女性、以下同) 頭痛、めまい、吐き気、ふらつき、動悸─熱中症の一般的な症状だが、怖いのはそれだけではない。“後遺症”が残る場合も多数報告されている。 「一度熱中症になって以来、程度の違いはありますが、熱中症になりやすくなりました。一度倒れたときは7月でしたが、翌月も同じような症状に。以降、暑い日に外出すると、以前より身体が熱をためやすくなっているというか、身体が火照って、涼しい場所に移ってもなかなか熱が出ていってくれないことが格段に増えました」 症状はさまざまな状況で現れることも。
「例えば旅行などで長時間外出した翌日です。それほど日差しが強くなくても、ずっと日光に照らされていたからなのか、起きたらダルさと動悸と身体の火照りがすごい。吐き気はないので、お腹は減っているのですが、ダルくて食べられない。というか動くことが億劫で、横になって水分をとって、ただただ体調がよくなるのを待つだけみたいな。そんな日が年に数日あるようになりました」
「暑さは恐怖に変わりました」
熱中症の後遺症が重く、自律神経の乱れ、パニック障害につながった人も。 「日本には四季があるといいますが、熱中症になって以来、夏が“拡大”しています。春や秋はもはや夏。真冬でも気温が15℃程度の暖かい日に人の多い街にいるともう暑くて防寒着なんて着ていられない。たまにムキムキの外国人の方が真冬にTシャツ1枚で出歩いていたりしますが、自分も似たような感じです」 そう話すのは同じく熱中症の後遺症に悩まされる40代の男性。もはや四季は「基本、初夏・真夏・晩夏、多少それ以外」となっているという。 「いわゆる冷感グッズはほとんど試しました。外出時はハンディや首元、空調服、携帯できる扇風機はすべて装着。ポケットには保冷剤を入れ、それとは別に携帯の保冷バッグに額や手を冷やす用の保冷剤を入れています。日傘もマストですね」(40代男性、以下同) 一度、熱中症で倒れた後も複数回、同様の症状が出て、通院。自律神経失調症、軽度のパニック障害とも診断された。 「もともと夏に強いほうではありませんでしたが、以降、暑さは恐怖に変わりました。晴れた暖かい日は“準備”をして外出しないと倒れる恐怖が頭をよぎる。自分は通院し、医師にも相談して漢方を含めた薬も飲んでいますが、少しでも体調が悪くなったら、躊躇せず即病院に行くべきだと思います。少しでも重い症状が残らないように」 危険な夏は、もうやってきている。