「自然に朽ちてもいい」vs「保存を」 端島・軍艦島の未来を巡る元住民たちの葛藤 観光資源化の可能性は【長崎発】
補修や整備に140億円の試算も
観光資源としての活用で模索が続けられる一方で、考えなければならなかったのが島の「保存」だった。 2005年6月、長崎市は「軍艦島保存活用検討委員会」を立ち上げ、有識者でつくる委員会は石炭の産業遺構、軍艦島の特徴的な外観を維持しようと話し合いを進めた。補修する建物や工法、工事費の概算などをとりまとめた報告書によると、当時およそ140億円かかると試算された。 委員会によると、護岸周辺や外観維持のための整備、歴史的建造物の整備など、軍艦島そのものと現存する建物のすべてを維持するために必要とされた。 軍艦島の保存に向けた動きは、元住民たちの心も揺さぶる。閉山の前年に高校を卒業するまで島で暮らした坂本道徳さんは、「市が保存という言葉を出してくれたのはうれしい。注目していきたい」と期待を寄せた。一方で、現地公開で案内役を務めた元住民の松尾和敏さんは、「来る度違う。あまり見せたくない。自然に朽ちてもいい」と複雑な思いを語る。変わりゆくふるさとの姿に、元住民たちの思いは交錯していた。((4)に続く) (テレビ長崎)
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