『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2024』で注目すべき5つの展示。
世界に名だたる文化都市・京都にて、歴史的建造物を舞台に繰り広げられる『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2024』が今年も開催中。13のメインプログラムのうちCasa BRUTUSが注目するのはこの5つの展示です。 【フォトギャラリーを見る】 写真で京都の街をジャックすると同時に、人類が考えるべき社会問題を提起する『KYOTOGRAPHIE』。第12回目となる今回のテーマは「SOURCE=源」。万物の始まりであり起源でもある、生命や自由、愛の源を探求する。国内外の気鋭の写真家が参加し、12の会場で繰り広げられる13のメインプログラムのうち、ここでは注目の5つの展示をピックアップ。見どころを案内したい。
■ヴィヴィアン・サッセン『発光体:アートセッション1990-2023』 @京都新聞ビル地下1階(印刷工場跡)
2015年まで40年間にわたり、休むことなく新聞を刷り続けてきた〈京都新聞ビル〉地下1階にあるかつての印刷工場。10年近い時を経てもなお、インクの匂いが残る空間で展示されているのは、オランダ出身のアーティスト、ヴィヴィアン・サッセンの日本初となる大回顧展だ。彼女の30年の活動の軌跡を辿り、過去作、未発表作品、ビデオインスタレーションなど十数のシリーズにのぼる200点以上の作品が展示されている。
子どもの頃にケニアで育ったバックグラウンドを持ち、ファッションデザインを学んだ後に写真に取り組んだサッセン。アートとファッションという2つの領域を横断して生み出される作品は、 鮮やかな色彩や仕掛け、フレーミング、被写体へのアプローチにおいても異彩を放ち、唯一無二の多彩な表現となっている。
ケニアで目にしてきた色彩や影が、自身に大きな影響をもたらしたというサッセン。父の死、セクシャリティ、文学や美術史など、彼女を取り巻く多くのものにインスピレーションを受け、写真や映像、ペインティング、コラージュを組み合わせた作品群へと昇華されている。
■クラウディア・アンドゥハル『ヤノマミ|ダビ・コぺナワとヤノマミ族のアーティスト』 @京都文化博物館 別館
ブラジルとベネズエラにまたがるアマゾンに暮らす最大の先住民族、ヤノマミ。歴史ある〈京都文化博物館 別館〉で展示されているのは、長年にわたりヤノマミ族を撮影し、彼らの権利と主張を守るために共に活動を続ける、スイス出身でブラジルのクラウディア・アンドゥハルによる写真と映像作品だ。