『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2024』で注目すべき5つの展示。
日本では初となるこの展覧会では、ヤノマミのリーダーであり、シャーマンでもあるダビ・コペナワの言霊、様々な時代のヤノマミのアーティストによる精緻なドローイングと映像作品も併せて展示。ヤノマミの人々を多角的な視点で捉えることで、その精神世界を垣間見せ、問題を可視化させて新たな脅威から守り続ける基盤となっている。
「ヤノマミが暮らす地はブラジル政府により先住民族保護区として認定されているものの、金の採掘など居住地域への違法な侵入や自然破壊、感染症などの様々な被害を受けている。作品を通じてヤノマミの文化の素晴らしさを知り、我々がどのような環境に置かれているかを広く知ってほしい」とコペナワは人々に訴えている。
■ジェームス・モリソン『子供たちの眠る場所』 @京都芸術センター
1869(明治2)年全国に先駆けて誕生した番組小学校の一つ、明倫小学校。1931(昭和6)年に改築された小学校建築をそのまま残したアート拠点が〈京都芸術センター〉だ。ケニアで生まれ、イギリスで育ったジェームス・モリソンによる、世界中の様々な境遇にある子どもたちの寝室とポートレートを展示するのにこれほどふさわしい場所はない。彼が5大陸40カ国で撮影してきた作品『Where Children Sleep』のうち、本展では28カ国35人の子どもたちの写真を展示。原寸に近いサイズに引き伸ばされた写真は、つぶさに子どもたちが置かれた環境を伝えてくれる。
このブロジェクトは当初『ベッドルーム』と名付けられていた。ところが撮影を重ねるうちに家族全員が一つの寝室を共有していたり、自分の部屋を持たない子どもが多いことに気がついたという。『Where Children Sleep(子どもたちの眠る場所)』というタイトルはそこから付けられた。 「子どもたちをテーマしたプロジェクトからは、その奥にある難しい問題が見えてきます。貧困、富、気候変動、銃による暴力、不平等、教育、ジェンダー、難民問題など、現代の複雑な問題を考える手段になるのではないでしょうか。写真とともに添えられた文章も読んでもらいたい」とモリソンは語る。