ヘルプマーク着けた弟…列車内で「悲しくなった」中2の経験
本年度の障害者週間(12月3~9日)にちなんで内閣府が募集したポスターコンクールで、長崎県壱岐市立石田中2年の田中海凪(みなぎ)さん(13)が中学生区分の最優秀賞(内閣総理大臣表彰)を受賞した。障害がありヘルプマークを着けていた弟が、席を譲ってもらえなかった経験を表現。受賞を喜ぶ一方で「マークや障害のある人への理解がもっと進んでほしい」と思いを語った。 【画像】ヘルプマークを着ける弟に席を譲らない乗客を描いた、田中さんの作品を基にしたポスター ヘルプマークは、外見では分からない障害や疾患のために周囲の配慮が必要な人が身に着ける。田中さんの弟は自閉症スペクトラム障害(ASD)があり、赤地に白の十字とハートがデザインされたマークを、いつもリュックサックに提げているという。 ポスターの題名は「気づいてよ」。家族で大阪を旅行した際、ヘルプマークを着けた弟と一緒に列車に乗ったが、車内にマークのポスターが貼られていたにもかかわらず、誰も席を譲ってくれなかった場面を描いた。田中さんは「悲しくなった。その時の思いを絵にしたかった」と話す。 水彩絵の具と黒の油性ペンを使って夏休みに描いた。美術で学んだ一点透視図法を使って列車の奥行きを表現。人の表情や、両側に詰めて座る様子を表すのが難しかったという。 実は昨年度も同コンクールで県の優秀賞を受賞した。このときもヘルプマークを着けていながら車にひかれそうになっている弟と、それを助けようとする手を想像して描いた。「もしも弟みたいにマークを持つ人が危ない状況になっていたら助けてほしい」との思いを込めたという。 本年度の中学生区分には全国から364点もの応募があった。受賞の知らせに「本当かなとびっくりした」と話す田中さん。ポスターは期間中を中心に全国で掲示される。 (野田範子)