ブロードコム株、エヌビディアをほうふつさせる急騰-結果を出すのみ
(ブルームバーグ): 大手ハイテク企業に半導体を供給するブロードコムの株価は、先週の決算発表から2日で38%の大幅上昇を記録した。まるでエヌビディアの株価が2023年に飛躍的に上昇し始めたころのようだ。ただ、ブロードコムが人工知能(AI)時代の新たな巨人として名をはせるには、その株高の期待に応えられることを証明する必要がある。
12日の決算発表後の株価上昇に伴い、ブロードコムの時価総額は約1兆2000億ドル(約184兆円)に押し上げられた。手掛かりとなったのは、データセンター事業者向けに同社が設計するAI部品の対応可能市場は27年度までに900億ドルに達するとの予測だった。ただ、この実現は容易ではない。
マホニー・アセット・マネジメントのケン・マホニー最高経営責任者(CEO)は「ある意味で1年半ほど前のエヌビディアのようだ。つまり、当時はエヌビディアが良好な業績を上げ、誰もがそれを追いかける格好だった」と述べ、ブロードコムは投資家にAIコンピューティング需要は非常に大きく、エヌビディア以外にも勝ち組が生まれる余地は十分あることを示していると語った。
ブロードコムの業績は先週の決算発表前からすでに良好だった。AI事業は堅調に成長し、フィラデルフィア半導体株価指数(SOX)採用銘柄の中でパフォーマンスはトップクラスだ。それでも完全に順風満帆というわけではなく、同社がAI以外の事業の弱さを理由に精彩を欠く見通しを示すと、株価は9月に急落した。
直近の四半期決算では再びAIに注目が集まった。ブロードコムの株価は年初来で110%余り上昇し、年間上昇率は2009年の上場以来で最高となる勢いだ。ウォール街は同社の目標株価や業績見通しを引き上げるが、それでも、ブルームバーグが集計したデータによると、決算発表後に19%上昇したアナリストの平均株価目標は株価の上昇ペースには及ばない。
ラショナル・エクイティ・アーマー・ファンドのポートフォリオマネジャー、ジョー・タイゲイ氏は、ブロードコムとエヌビディアには多くの共通点があると指摘。「ブロードコムが38倍を裏付ける業績を上げなくてはならないのは明確だが、同社は今年、良好な成長と業績を残している」と述べた。この倍率は今後12カ月の業績見通しを基にした予想株価収益率(PER)で、記録的な領域をさらに進んでいる。ブロードコムには失敗が許される余地はあまりなさそうだ。