続々と発表されるカスハラ防止対策、誰もが無意識に加害者になる時代にセルフチェックしておきたい「4タイプ」
■ カスハラを生み出す大きな要因は「職場側」にある? カスタマーハラスメント(カスハラ)をめぐる動きが日本中で活発です。2023年には労働災害の認定基準にカスハラが加えられました。さらに厚生労働省はカスハラ対策を職場に義務付ける方針を示し、全国の自治体では東京都を皮切りに、北海道や三重県桑名市など、「カスハラ防止条例」を制定する動きも見られます。 【セルフチェック表】あなたも該当している?「無意識カスハラ」の加害者4タイプ カスハラは、パワーハラスメント(パワハラ)やセクシュアルハラスメント(セクハラ)と並んで、いまや3大ハラスメントに位置付けられていると言っても過言ではありません。繊維や流通、外食などサービス業の労働組合が加盟するUAゼンセンが2024年にサービス業に従事している組合員に対して実施した調査では、46.8%が直近2年以内にカスハラを経験しています。 カスハラに限らず、あらゆるハラスメントにおいては被害者の立場に立ってどう守るかが重要であることは言うまでもありません。しかしながらカスハラに関しては、社会生活を営む中で、誰しもが毎日のようにカスタマー(顧客)の立場になっています。顧客側が加害者になってしまわないよう防止する観点から考えた時、カスハラに対してどのように向き合っていけばよいのでしょうか。 カスハラについて、厚生労働省のマニュアルでは以下のように定義されています。 〈顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの〉 ただ、そもそも要求内容に妥当性がなく、社会通念上不相当な態度で就業環境を害するような相手は、顧客と見なされるものなのか疑問です。カスハラ被害者となる従業員側がそのような相手を顧客として対処しなければならないのは、職場が相手を顧客と見なして対応することを求めて業務指示を行っているからに他なりません。 社会通念上不相当な態度で就業環境を害するような相手を顧客と見なさなければ、その時点でもう、ハラスメントの加害者は顧客という立場ではありません。すると、相手の行為はただの嫌がらせに過ぎなくなり、カスハラという言葉自体が成立しなくなります。カスハラが生み出される大きな要因の一つは、本来顧客と見なすべきではない相手を顧客扱いして商売し続けてしまう、職場側の判断にあるのです。