【宮田莉朋F2密着】オプションタイヤで挑んだスプリント。手応え掴んだ土曜日/第9戦レビュー前編
前戦のシルバーストンから2週間後、ハンガリーの首都ブダペストで開催された2024年FIA F2第9戦。舞台となるハンガロリンクは「ガードレールがないモナコ」と評されるほど、狭く曲がりくねった低速サーキットであり、宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)にとっては、ここも初めて訪れたコースだった。 【写真】FIA F2参戦中の宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ) 「バンプが多いというのが、最初の印象ですね」と、宮田はハンガロリンクの第一印象を語った。 「だから、クルマのバランスとドライビングがほかのサーキット以上に一貫していなければ、思うようなタイムを出すことができない。そんなコースだと思います」 そのハンガロリンクで、宮田はフリー走行を6番手という好位置で終えた。しかし、予選ではそのパフォーマンスを維持することができなかった。 「予選に向けてペースを上げることができず、予選は少しパフォーマンス不足で18番手に終わってしまいました」と、宮田。 普段、ほとんどレースが行われていないハンガロリンクは、トラックエボリューション(マシンが走るたびにラバーが乗ってグリップが良くなる)の幅が大きいサーキットのひとつ。ほかのサーキット以上に経験が重要だ。 「40分のフリー走行でタイムを縮める準備をすることがいかに難しいかを、改めて思い知らされた予選でした。特に難しかったのがコーナーが連続するセクター2で、クルマも合わせ切れていなかった部分もありますが、僕のドライビングも修正しなければならないところがあったので、そこは今後の課題です」 7月20日(土)に行われたスプリントレース。フォーメーションラップ開始時には宮田のチームメートのゼイン・マローニ(ザウバー育成)がエンジンストールを引き起こしピットスタートへと変わった。一方、タイヤ交換義務のない28周のスプリントレースで、宮田が選択したタイヤはオプションタイヤ(ソフト/レッド)だった。 「その狙いは、タイヤコンパウンドが去年と違ってソフトとハード(プライム/ホワイト)になってたので、開幕戦サクヒールのように、今回のスプリントレースはソフトとハードのミックスになるだろうという予想を立て、僕たちはオプションでスタートするというトライをしました」 宮田が言うように、この日のスプリントレースでは10台がオプションタイヤ(ソフト/レッド)で、12台がプライムタイヤ(ハード/ホワイト)と、タイヤ選択が分かれた。 「オプションだったので、タイヤのマネジメントが重要で、それはレース中盤まではうまく行っていたと思います」 「ただ、レース中盤に前を走っていたクルマがブレーキングで急な進路変更して、その危険を回避するためにブレーキをロックさせてタイヤにフラットスポットを作ってしまいました。それでタイヤのグリップを失ってしまい、それからはペースが上がりませんでした。あれがなければ、もう少し行けたと思います」と、宮田。 この日、タイヤのグリップ不足に苦しんだのは宮田だけではなかった。レース終盤にはオプションタイヤの劣化に耐えきれずに緊急ピットインするドライバーもいたほどだった。 それでも、宮田はタイヤをうまくマネージメントし13番手でチェッカーフラッグを受けると、レース後に暫定優勝のリチャード・フェルシュフォー(トライデント)が技術違反で失格となったことで12位となった。 「初めてのハンガロリンクでのレースでオーバーテイクもできたので、そこはポジティブです」 そして、日曜日のフィーチャーレースに向けて、こう抱負を語った。 「スプリントレースも荒れたので、日曜日のフィーチャーレースも今日のように最後まで諦めずに一生懸命走って、その上でポイントが獲得できたら最高ですし、とにかく自分たちのベストを尽くして頑張りたいです」 そう語った翌日、宮田はその言葉のとおりの走りを見せ、第6戦バルセロナのスプリントレース以来となる入賞を果たすことになる。 [オートスポーツweb 2024年07月23日]