都知事選で「都内の“不動産価格”」は今後どうなるのか? 「住宅や再開発政策」はもっと争点になるべきだ
現在の千代田、中央、港の3区は、築地のほか、日比谷公園、神宮外苑(一部)など、再開発のメッカとなっている。石原、猪瀬、舛添、小池の保守系都知事4名が、2回目の東京五輪誘致・実施をテコに再開発を進めてきた東京の心臓部だ。 「小池都政を止める」という蓮舫氏の出馬宣言は、実は迫る総選挙ばかりか、東京都内の再開発の在り方も大きく左右するだろう。 しかも、衆院補選で自民候補は不戦敗や敗戦を続けている。 さらに2022年の新宿区長選では、神宮外苑再開発に反対した新人女性区長候補が開発推進の現職男性区長に大敗を喫した。
だが、今年6月の港区長選挙では、同様に神宮外苑開発反対を抱えた港区の女性区議がベテランの男性区長の6選を阻み、大番狂わせとも言われた。 下は東京都の選挙区の区割り地図である。 まずはじっくり見てみてほしい。 この区割り地図から、次のような仮説が成り立つ。しかもそれは有力だ。 ■選挙区からわかる「これからの不動産戦略」とは? ①原則として、駅名になっていない地名は不動産市場において強くなさそうだ。 ②不動産市場において人口が多いのはよいことだが、2区に分割され、その区割りが1桁台と2桁台にまた裂き状態にされている区については、慎重に検討したい。
23区の人口増による1票の格差を解消するために、人口の多い区の選挙区の分割が急務となり、また裂きとなった区が続出した。分割された区は、選挙区そのものにつぎはぎ感が残る。人口の多い区の分割先の「引受先」になる場合もある。有力者が優位に選挙区を分ける「ゲリマンダー」という現象も起きやすくなる。 たとえば、世田谷区、大田区、杉並区、板橋区、足立区など、23区の外周部の区が2つ(複数)に分断されていることがわかる。
③選挙区行政上の区割りにすぎないが、実は大正時代以降の東京の人口爆発を背景としている。昔から中心だったエリアは、第7区(港区、渋谷区)、第10区(文京区・豊島区)を例外とすれば、住宅価値や地価の高い上位に入るところがほとんどだろう。 ④今後、東京の人口が23区でも減るとすれば、過去の人口爆発の結果、1つの区を2つに割っている人口の多い区の人口減少が目立つ可能性がある。 ⑤したがって、注意が必要なのは、1つの区を2つに割っている区、つまり世田谷区、足立区、杉並区、練馬区、板橋区などのうち、有名でないところ。つまり駅名などになっていないエリアだ。