都知事選で「都内の“不動産価格”」は今後どうなるのか? 「住宅や再開発政策」はもっと争点になるべきだ
都市計画の実務は都庁官僚が押さえているうえ、大手有力デベロッパーが都庁に食い込んでいるためだ。 民主党政権化において、「脱ダム政策」が結局は既得権者の抵抗で失速した過去も思い起こされる。 しかし、もしも実際に再開発やタワマンの供給を抑えるなら、既存の開発中のマンションや中古物件の値上がりの要因になるかもしれないのだ。 アイドルの人気投票だって「総選挙」を名乗るくらいだから、マイホーム選びにも「総選挙」があってよい。
全国的に人口減少・少子高齢化の波に揉まれる中、都知事選や総選挙からどういった住宅戦略が考えられるのか、考察してみたい。 実は、激変を続ける衆院選の区割りは、住宅選びの参考になる。 次回の衆議院選挙の選挙区の数は、東京都で5増加し、25区選挙区から30選挙区に増える。 神奈川県でも2増加、3つの県(埼玉県、千葉県、愛知県)でそれぞれ1増加する。 1票の格差を考慮して、全国で見れば増えるのは10選挙区だが、1都3県の首都圏で増加の9割を占めることになる。
区割りについては本稿の後半で改めて解説しよう。 ■区割りとともに「再開発促進区」をチェック どのエリアのマンションが値上がりするのかを予想するなら、都市計画法の「再開発等促進区」の指定も大きなヒントだ。それが大規模開発の突破口になるからだ。 つまり「これからの再開発促進区はどこなのか?」を考察することが、不動産戦略では重要だ(ちなみに、筆者は促進区の“乱用”には反対の立場である)。 そういう意味では、中選挙区時代の旧東京第1区であった千代田、中央、港の都心3区は、これからも大化けしそうだ。
旧1区の中でも特に注目したいのは、中央区の築地周辺エリアだ。 築地市場跡地の再開発といえば、「ジャイアンツの本拠地(スタジアム)移転はあるのか?」が話題に上るが、裏のテーマは住宅開発である。 築地市場跡地は都有地(都民の財産)であり、原則として70年の定期借地期間の中で開発される。 したがって、超大手デベロッパー、富裕層、外国人らの関心事といえば、定期借地付きのマンションがどれだけできるか、なのだ。