【大阪万博の目玉「空飛ぶクルマ」開発の現在地】バッテリーの力で飛行し垂直に離着陸可能 被災地への物資輸送、都心での渋滞回避…実用化への期待高まる
関心度の低さ、工期の遅れ、建設費用高騰などいくつもの問題が指摘されてきた大阪・関西万博もいよいよ開催まで4か月となった。日本での万博開催は2005年の愛・地球博(愛知県)以来20年ぶりで、半世紀の時を超えて大阪に“戻ってくる”形だ。
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げ、各パビリオンでは、iPS細胞から作った「ミニ心臓」やロボットなどの“未来”が展示される。 なかでも注目を集めているのが「空飛ぶクルマ」。人々の移動や暮らしの可能性を大きく広げてくれると期待されている、まさに未来の乗り物。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『スター・ウォーズ』などSF作品でしか存在しなかった空飛ぶクルマはタイヤを使って走行する従来の車とは、見た目や造りも大きく異なる。 「空飛ぶクルマはドローンとヘリコプターを合体させたような形状で、小型の航空機といえます。バッテリーの力で飛行し、垂直に離着陸が可能。将来的にはパイロットがいなくても飛べることを目標に開発が進んでいます」(オリックス株式会社・空飛ぶクルマ担当リーダー・以下同)
被災地への物資輸送、都心での渋滞回避…実用化への期待
万博での商用運航を目指して開発が進められていたが、「安全性に関する国の証明」が開幕に間に合わず見送られることとなった。 「商用運航は叶いませんでしたが、デモンストレーション飛行は実施されます。空飛ぶクルマの最大の特徴は、ヘリコプターと比べるとかなり静かに飛行できること。これは、バッテリーを動力源とし、改良された構造のプロペラを使用しているためです。間近で見ていただければ体感してもらえるはずです」 飛行にあたって滑走路は不要だが、どこでも離着陸ができるわけではない。地上に航空法の認可を受けた飛行場(バーティポート)を建設する必要がある。 実用化されれば、災害被災地への物資輸送や救急搬送、過疎地への医療提供や、離島・山間地域への移動、都心での渋滞回避などさまざまな活用が期待されている。1970年の大阪万博で、約6400万人の来場者を夢中にさせた動く歩道や電気自動車は、いまや当たり前になった。 半世紀後の空に、空飛ぶクルマが飛び交っている日常を思いながら万博に足を運ぶのもいいかもしれない。 ※女性セブン2025年1月2・9日号