射水の男児、長髪を寄付 片口小2年・西田さん、医療用かつら向け
●3年半で45センチ「1人でも多く笑顔に」 病気で髪を失った子どもに医療用ウィッグ(かつら)を無償で提供する「ヘアドネーション」に協力しようと、射水市片口小2年の男児、西田陽音(ないん)さん(8)が28日までに、3年半近くにわたって伸ばした髪を切った。女の子に間違われることも多い長い黒髪はトレードマーク。西田さんの活動を知って髪を伸ばし始めた同級生もいて、支援の輪が広がっている。 西田さんが髪を伸ばし始めたのは年中児だった5歳の8月。テレビでヘアドネーションの番組を見て興味を持った。「病気の人が髪の毛がないことを気にしなくなるなら、僕もやってみようかな」と髪を伸ばし始めたという。 母美波さん(40)は「男の子でやるとは思わなかった」と驚いた。小学校入学前には自分で髪を結べるようになるという小学校からの「宿題」をクリアした。 ●女児に間違えられ 浴場で男湯に行けば「女湯は向こうだよ」と指摘され、男性トイレに入れば周囲の人が間違って入ったと勘違いする場面もあった。 それでも西田さんは気にせず、「上級生も覚えてくれて仲良くなった」とにっこり。「1人でも多くの人を笑顔にしたい」との思いは友だちにも波及し、同学年の男の子が「俺も始める」と髪を結べるほどに伸びた。西田さんは「いろんな人がヘアドネーションを知って、始めてくれる人がいるのが理想かな」と話す。 ヘアドネーションに必要な31センチはとうに超え、美しい状態で寄付するためカットすることを決めた。高岡市赤祖父の美容室「topa(トパ)高岡店」でクリスマスの25日、はさみを入れた。45センチのツヤツヤの髪は自分で梱包(こんぽう)し、ヘアドネーションを専門に行う団体「ジャパンヘアドネーション&チャリティー(JHD&C)」に送付する。 ●再び伸ばし始める 妹陽奏(なな)ちゃん(6)も髪を伸ばしている。2度目のヘアドネーションをするため、再び髪を伸ばし始めた西田さんは「どんどん人が幸せになる元になるといい。傷ついた人が、少しでも元気を出せるようにしたい」と話した。 ★ヘアドネーション ヘア(髪の毛)とドネーション(寄付)を合わせた言葉。小児がんや無毛症などの病気や事故で頭髪に悩みがある子どもに対し、寄付された髪を用いてウィッグを製作し無償提供する。一つのウィッグを作るには31センチ以上の長さの髪が約30人分必要で、多くの協力が求められる。1990年代に米国で普及し、日本でも広まった。