「のだめ」「あの花」「サイコパス」…ドラマファン狙った「ノイタミナ」はアニメの常識をひっくり返したか?
テレビアニメから生まれた劇場版アニメのメガヒットが続いている。アニメ人気の一翼を担ってきたのが、フジテレビの「ノイタミナ」(木曜深夜0・55)だ。これまで83作品を世に送り出してきた。20周年を迎える4月からは全国ネットとなり、午後11時台の放送に繰り上がる。当初から関わってきた同局の松崎容子・アニメ事業局長に、20年の歩みを振り返ってもらった。(文化部 川床弥生) 【写真】何をやっても「のだめに見える」の声に気落ちしていた上野樹里
きっかけは「月9でアニメをやりたい」
同枠誕生のきっかけは、当時の編成部アニメ担当の「『月9』でアニメをやりたい」という夢だった。
2000年代初め、アニメは子供や、熱心なファン向けのものが多かった。看板ドラマ枠「月9」を見ている「ドラマ好きやライト層に訴求したい。おしゃれで気軽に見られるアニメをという思いがあった」。2005年、深夜に放送が始まった。
ノイタミナとは「animation」を逆から読んだ造語。「アニメの常識をひっくり返す」という意味だ。「月9」のように「ノイタミナっぽい」といわれる作品を目指した。
まずは漫画原作のものが、ライト層に受けた。最初の作品は美大生の青春をつづった「ハチミツとクローバー」。音楽にもこだわり、「スピッツ」ら有名アーティストの曲を採用した。音大生をコメディータッチで描いた「のだめカンタービレ」シリーズはドラマ版の人気もあり、08年の「巴里編」で同枠最高の世帯視聴率6・6%を記録した。
同時にオリジナル作品にも注力。思春期の男女6人の群像劇「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(11年)は「50~60代の男性も興味を持ち、一気に浸透した」と振り返る。
「同時間帯に一緒に見てトレンドを作れる」
12年に放送が始まった「PSYCHO―PASS サイコパス」も話題を呼んだ。「踊る大捜査線」シリーズの本広克行が総監督を務め、近未来の警察を描いた。リアルでダークな世界が視聴者の心をつかみ、「テレビアニメから劇場版と、長く制作を続ける道筋を作った作品」という。現在は「るろうに剣心」の京都動乱編を放送中だ。