「のだめ」「あの花」「サイコパス」…ドラマファン狙った「ノイタミナ」はアニメの常識をひっくり返したか?
同局とアニメとの関わりは深い。1963年に、国産初のテレビアニメ「鉄腕アトム」を放送し、「サザエさん」は55年間続く、世界最長のテレビアニメだ。人気作「鬼滅の刃」を放送しているのも、「編成したいという熱意が通じた」からだという。
ノイタミナではファンタジーやSFから、ボーイズラブまで多様なジャンルを展開し、アニメのイメージを変えてきたという自負がある。アニメは今、配信で見られることも多いが、「地上波なら、多くの人が同時間帯に一緒に見て、トレンドを作ることができる。枠が継続することも重要。これから全国の方に見てもらえるのが楽しみです」。
各局も注力、人気原作取りあいに
午後11時台は日本テレビ系「FRIDAY ANIME NIGHT」、テレビ朝日系「IMAnimation」、TBS系「アガルアニメ」と、近年新たなアニメ枠が設けられている。テレ東も含め、各局アニメに力を入れ、人気原作の取りあいとなっている。
花澤香菜「役を通して殻を破れ、役の幅が広がった」
「ノイタミナ」で多くの作品に出演してきた声優の花澤香菜さんに、同枠への思いを聞いた。
一視聴者として見ていて、おしゃれな枠が始まったなという印象でした。「ハチミツとクローバー」が大好き。原作の良さが見事に表現されていて、衝撃を受けました。これまでの作品を遡っても、面白くておしゃれな作品ばかりで本当にすごいです。
私がこの枠に初めて出演したのは、主人公の月海を演じた2010年の「海月姫」です。「PSYCHO―PASS サイコパス」では、主人公の常守朱を演じました。つらいシーンも多く、苦しい気持ちで行き帰りの電車に乗ったのを覚えています。
朱ちゃんも物語の中で成長していきますが、役を通して私も殻を破れて、役の幅が広がりました。社会に対する考え方も影響を受けました。一生やっていたいと思える役、ターニングポイントになった作品です。
4月から、20周年の節目となる作品「謎解きはディナーのあとで」の主人公、宝生麗子を演じます。責任重大ですが、うれしいです。キャラクターが魅力的で、会話劇がめちゃくちゃ楽しい作品です。放送が午後11時台になり、ドラマを見る感覚で、アニメ好きではない人にも見ていただき、裾野がもっと広がればいいなと思います。