最大手NVIDIAのエッジAI動向

　AIデータセンター向けのGPU販売で独占的な地位を占めるNVIDIAだが、エッジAI領域でも無視できない存在だ。データセンター向けの「H100」に加え、エッジAI領域では「NVIDIA Jetson」のOrinファミリーを中心に展開を進めている。 　Jetson Orinファミリーには7つのモジュールが含まれる。最小モデルは、Jetson Orin Nano 4GB。5～15ワットの電力で、40TOPSの処理が可能だ。一方、最大となるJetson AGX Orin 64GBは15～60ワットで、275TOPSを実現している。 　近々、このJetson Orinが宇宙に打ち上げられる予定となっており、この実験が成功すれば、エッジの究極とも言える宇宙で広く活用される可能性も出てくる。 　Space.comによると、SpaceXのTransporter 11ミッションでNVIDIAのJetson Orin NXチップが宇宙に打ち上げられる予定という。宇宙空間でエッジAI半導体を運用する初の試みといわれている。このミッションの目的は、衛星軌道上でNVIDIAのAI半導体を最小限のエラーで運用できるかどうかを実証すること。成功すれば、宇宙産業でのAI活用は加速する見込みだ。 　地球観測プロバイダーは、衛星上で直接画像の分析と処理を行うことができるようになり、軌道上サービスや製造、能動的なスペースデブリ除去など、高度な画像分析と視覚ナビゲーションを必要とするミッションが可能になると予想されている。 　エッジAIハードウェア領域では、Kneron、Blaize、Mythicなどの有望スタートアップが多数存在するほか、グーグルやアップルなどのテック大手も存在感を示している。AIモデルの小型化とともに、それらを運用するハードウェアの開発競争はさらに激化する見込みだ。