専門家が教える「朝起きられない子」に足りないもの 規則正しい生活に必須の栄養素とは
【"成功する子"の食事術】子どもの成長に食事が大切ってことは分かっているけれど、どんなものを作ればいいの?毎日のことだから、悩んでいる親御さんも多いはず。シリーズ累計14万部突破「成功する子は食べ物が9割」の著者・細川モモさんに、20年後に後悔しない子どもの食事術を教えてもらいましょう。 ◇ ◇ ◇
年度の変わり目はなにかと慌ただしい時期。卒園や卒業、入園や入学、進級の準備などで忙しさを感じつつも、子どもたちの成長をより一層感じられる大切な瞬間でもあります。 しかし、同時に子どもたちの生活習慣が崩れやすくなる時期でもあり、4月からの新生活に不安を抱えている保護者の方もいるのではないでしょうか。 特に多いお悩みとして聞くのは、「子どもが朝起きられない」「イライラしている、集中力がない」などです。 このような子どもの態度を見てしまうと、本人のやる気がないのではないか?と思い叱ってしまいがちですが、実はこれ、栄養+エネルギー不足のサインかもしれません。
成長期にガス欠になってしまうエネルギー不足に注意!
大人と違い、1年間で身長と体重がグッと増えていく成長期の子どもたちは、食事のエネルギー(kcal)量を人生でもっとも必要としています。ところが、現代の子どもたちの1日の推定摂取エネルギー量は、本来必要としている量に対してほぼすべての年代で足りていないのです(※1)。
エネルギーが足りないと当然ながら疲れやすくなりますし、身体を回復させることにエネルギーが十分に使えないため、疲れが累積し、イライラしやすくなったり、集中力が低下したりしてしまう可能性があります。さらに、エネルギー=食事量が足りない、ということは、成長に必要な栄養素も不足させてしまっている可能性があります。
特に不足している栄養素は、ズバリ「鉄」
鉄と聞くと、貧血などを想像される方も多いかもしれません。 しかし、あまり知られていませんが、実は鉄は脳の中枢神経の発達を助ける栄養素でもあり、記憶などを司る脳の海馬などにも関係しています。乳幼児期に鉄が欠乏すると、身長や体重など目に見えてわかる部分の成長に影響するだけでなく、運動能力の低下や感情の調節(落ち着きがない・よく泣く)、認知力の低下など、幅広い面での発達に影響する可能性があることがわかっています(※2)。 しかし、ラブテリの調査では、0~5歳までの子どもの12%に鉄欠乏性貧血のリスクが見られました。幼児期の子どもたちも1日に必要な鉄の摂取量(推奨量)は4.5mg/日ですが、1日に摂れている量は男の子で3.7mg/日、女の子で3.3mg/日と不足させてしまっている状況です(※3)。 さらに、その状態のまま小学校高学年を迎えて急激な身長の伸びや“初めての生理”を迎えると、「思春期貧血」のリスクが高まってしまいます。