「尹大統領、過度なアルコールで国政遂行は不可能」韓国の保守論客の評価
「保守の論客」チョン・ギュジェ氏が、保守勢力が陰謀論的な世界観に陥ったことが12・3内乱へとつながったという趣旨の見解を示した。 チョン氏は9日のCBSラジオ「パク・チェホンの一本勝負」に出演し、違憲かつ違法な12・3内乱について「保守全体が陰謀論的な世界観に陥っていた。保守全体の水準が非常に低下した」として、「(12・3内乱は)その結果」だと主張した。内乱罪容疑者の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が起こした内乱の背景には極右勢力が提起してきた不正選挙陰謀論などがある、という一部の主張と軌を一にするものだ。 3日の非常戒厳宣布の際、京畿道果川(クァチョン)の中央選挙管理委員会に侵入した戒厳軍は、選管の電算室で事前投票に関連するサーバを撮影している。10日の国会国防委員会全体会議に出席した国軍防諜司令部のチョン・ソンウ第1処長は、「選管のサーバをコピーするとともに、丸ごと持ってくるよう指示したのは誰か」と共に民主党のホ・ヨン議員に問われ、「(国軍防諜司令部の)ヨ・インヒョン司令官に口頭で指示された」と答えた。 チョン氏は「大統領をはじめとする龍山(ヨンサン)の少なからぬ人たちが、いわゆる陰謀論的世界観に深く浸っていると思う。(与党の)国民の力を支持するかなりの数の人たちに陰謀論、ねじ曲げられた歴史観、手段の軽視、目的中心の世界観が非常に深く浸透している」と述べた。 また「尹大統領はすでに過度なアルコールで国政が遂行できない段階に到達しているだろうと思う」として、「そのような状況が1年以上続いてきたが、秘書たちがよこしまな宦官(かんがん)のようにかばっている」とも述べた。 チョン氏は、尹大統領の弾劾に反対している与党を強く批判した。「(国民の力には)現実感覚がないようにみえる。国民の力はこの数年間、国民を欺いてきたのではないかと疑っている」と話した。 ただし同氏は、国民の力の態度は数日以内に変化するだろうとの見通しを示した。同氏は「国民の力の議員たちには『裏切り者トラウマ』があるからああなのだと思うが、朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾での裏切り者フレームと今回の状況とはまったく異なる。おそらく2~3日以内に見解は大きく変わるだろう」、「大統領に対する(捜査機関の)質問事項が完成すれば、国民の力の議員たちは不可避的にであれ弾劾に判を押すことになるだろう」と述べた。 チョン氏は、国民の力のハン・ドンフン代表をはじめとする与党関係者が大統領弾劾の代案として主張している「秩序ある退陣」についても、「だまし」だと批判した。同氏は、韓国経済新聞の論説委員だった時代に、朴元大統領の弾劾局面において「秩序ある退陣」という概念を初めて提示した張本人だ。 チョン氏は「(秩序ある退陣は)朴元大統領は政治的には失敗と判定されたのだから、名誉を保ったまま撤退する時間を与えようということだった。朴大統領が(辞任の)期限をまず決めて、与野党がワンポイントで任期短縮改憲をすれば名誉ある退陣ができる、というものだった」として、「ハン代表は国民の力の大権、党の主導権を握るための腹案として使おうと考えてあのような話をしているが、だまそうとしているもの」だと指摘した。 さらに、「(大統領退陣の)ロードマップは、ハン代表には示すこともできないし、資格もない。何の憲法的な裏付けもない」、「しかも尹大統領は容疑者になった。容疑者に対しては速やかな捜査と逮捕があるのみ」だと付け加えた。 シム・ウサム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )