【毎日書評】ドン・キホーテという異色を大ヒットPB「情熱価格」のリブランディングから紐解く
『ドンキはみんなが好き勝手に働いたら2兆円企業になりました』(吉田直樹、森谷健史、宮永充晃 著、日経BP)の著者のひとりである吉田直樹氏は、ドン・キホーテおよびその親会社であるパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の代表取締役社長。17年前の2007年にドン・キホーテ(ドンキ)に入社したときに感じた第一印象は、“変わってる”だったのだそうです。 本書は、この「変わってる」と、本書のタイトルである「好き勝手」をキーワードに、ドン・キホーテのPB(プライベートブランド)のリニューアルプロジェクトと、こういうオモシロイ商品とオモシロイお店を出し続けているドンキという組織についての物語です。(「はじめに」より) ここでいう「変わってる」は、吉田氏にとってはもっともポジティブな、いいかえれば、従業員にとってやる気の出るドンキの特徴なのだとか。「変わってる=strange」ではなく、「異なる=different」という意味での「変わってる」だというのです。 ちなみに、そんな本書は、吉田氏に加え上席執行役員の森谷健史氏、そして博報堂クリエイティブディレクターの宮永充晃氏によって書かれたもの。 3人で、2020年以来、たくさんのことを語り合ってきました。チーム宮永という社外の方と一緒にシゴトをすることにより、かえって、自社、ドンキらしさ、といったものについて考えざるを得なくなり、また、変えなければならないことについても思い切った決断ができたのではと思います。そういう試行錯誤の結果、世間にもわかりやすいオモシロイ成果を挙げているのが、本プロジェクトではないかと自負しています。(「はじめに」より) そこで、そんなオモシロイ話を多くの人に伝えたいという思いから、本書は書かれたわけです。興味深いトピックス満載なのですが、ここでは「ドンキ外」の立場にいる博報堂の宮永氏の思いを、「おわりに」のなかから抜き出してみたいと思います。