「プラダ」が青山店で海洋保護イベントを開催 環境写真家やユネスコ科学者らが意見を交わす
WWD:写真の力とは?
エンツォ・バラッコ(以下、バラッコ):写真には複雑なストーリーをシンプルに伝える力がある。私が自然を体験して自然の美に触れたように、写真を通じて見て気になり、その背景にある事実を科学者の力を借りて知れば考え方が変わるきっかけになるだろう。南極で氷山のアンバランスな形を見て私は美しいと思ったが、同行していた大学教授である科学者は「一部が解けてバランスが変容したあの氷山は、生き残りをかけて戦っている形なのだ」と教えてくれた。同じようなことを写真を見る人にも体験してほしい。
WWD:あなたは長らくファッション撮影の第一線で活躍した後に、南極大陸に魅せられて自然の美に目覚めたと聞く。人造的であり欲望を掻き立てる権威的なファッションの美の力とありのままの自然の美しさは、同じ“ビューティ”でも異なる。その両方に触れて思うことは?
バラッコ:確かに私は自然に触れ、その美しさを発見した。自然の美しさの本質、つまり儚さと同時に美しさを解き放つようなものだ。最近は、ファッションの概念が少し変わってきたと思う。今は「プラダ」をはじめ、それぞれのブランドが保全や持続可能性に対するアプローチを熱心に行っている。私たちのファッションが自然に対してもう少し敬意を払い、自然からインスピレーションを得るようになり、自然をただ利用するのではなくなったことは、とても興味深い。
WWD:例えば?
バラッコ:今日私は「リナイロン」を使用した「プラダ」のブルゾンを着ている。デザインはもちろん素晴らしく、とても快適。でも、もっと重要なのは、この製品が「シービヨンド」のようなプロジェクトの資金調達に役立つということだ。このブルゾンは、ファッションの美しさと私たちが達成すべき主な目標である海や原則についての創造的な意識を結びつける、とても簡単な方法なのだ。つまり、“目的を持ったファッション(fashion with the purpose)”だ。