「毎日楽しくない」、中年期に直面する「ミッドライフ・クライシス」 40~60代アンケートで浮かんだ実態
突発的な行動は人生を崩壊させる可能性も
――若い頃はいろんなことにワクワクしていたのに、年齢を重ねるにつれて楽しみが見つけられなくなってしまう方も多いそうです。 「中年期は人生の停滞感を感じ、以前楽しかったことが楽しめない、何をしてもワクワクしないという方は多いと思います。 それを払拭したいという焦りから、ギャンブルやお酒、不倫、突然の退職やリスクのある起業など、突発的な行動をとってしまう方も少なくありません。そのような行動は、これまで築いてきた人生を崩壊させ、取り返しのつかない事態になりかねません。 しかしながら、停滞感を払拭するためには、何かしらの変化を起すことが必要です。そこで、リスクのある行動ではなく、日常生活の中で無理なくできることから始めてみてはいかがでしょうか。例えば、自分の人生を深く振り返ったり、未完成な目標にチャレンジしたり、少しでも興味のあることの情報収集や、リスクを抑えた副業など…そういった行動を起こしてみて、新しい自分と出会った時、ワクワク感や充実感に繋がるかもしれません。
いい意味で「諦める」 ミッドライフ・クライシスに陥らないために
――リスクのない新しいアクションを起こすことが大切なのですね。逆に、ミッドライフ・クライシスに陥りづらい人の特徴は? 「自分の人生を自分で選択している自覚を持っている人や、納得感を持って人生を歩んでいる方は、中年期以降も比較的楽しく、自然体の自分で歳を重ねることができると思います。 大切なのは、自分のことをしっかり理解し、いい意味で"諦める"こと。実は、元々"諦める"というのはポジティブな言葉で、その語源は、明らむ、"つまびらかにする、明らかにする"こと。 生きていると、執着心などを手放せずに苦しむこともありますが、諦めて手放すことで、新しい何かを得ることもできます。諦めることは、悪いことばかりではないのです。 難しいことかもしれませんが、弱さも含めて自分であると認め、自分自身と上手に付き合うこと。ありのままの自分を受け入れ、心の声に耳を傾ける習慣を持つことが、充実した人生を送る鍵になるでしょう」 ――ミッドライフ・クライシスを乗り越えるための、身近な解決方法を教えてください。 「大前提として、ミッドライフ・クライシス世代にとって最重要なのは健康問題です。不安や悩みは目に見えないので、自分の心をコントロールすることは難しいですが、身体はコントロールできます。 運動をすると、"幸せホルモン"と呼ばれるセロトニンやエンドルフィンが分泌し、自然と活力が湧いてきます。まずは身体を動かし、食事内容に気をつけて、体重や血圧、血糖値のコントロールなどを意識しましょう。 健康問題がクリアになったら、自分の人生を再定義しましょう。自分にとって大切なことは何か、優先順位はどうなっているのか、紙に書くなどして自分の言葉で言語化すると良いです。 ミッドライフ・クライシスはネガティブなことではなく、自分と深く向き合うための転換期だと捉え、人生の後半戦を有意義にするためのきっかけだと考えましょう」