「毎日楽しくない」、中年期に直面する「ミッドライフ・クライシス」 40~60代アンケートで浮かんだ実態
ミッドライフ・クライシス=人生の迷子状態
――まずは、「ミッドライフ・クライシス」の定義について教えてください。 「ミッドライフ・クライシスを"人生の迷子状態"と表現する方もいます。人生の折り返し地点である中年期に、『自分の人生はこのままでいいのだろうか』と悩んだり、心理的危機感に襲われたりする状態のことを指し、多くの人が陥ると言われています。人生の残り時間が少なくなっていくことに焦燥感を覚え、睡眠や食事が不規則になるなど、うつ病や不安障害に発展する場合もあります。 早期に対応することが重要ですが、世間にミッドライフ・クライシスという言葉が浸透していないこともあり、自覚することは困難です。まずはミッドライフ・クライシスの概念を知ることが大切だと思います」 ――ミッドライフ・クライシスに陥ってしまう原因は何でしょうか。 「さまざまな原因が複雑に絡み合っていますが、その一つが健康問題です。中年期は若い頃と比べて体力が落ち、病気を患う可能性も高くなってきます。他にも、ホルモンバランスが乱れたり、睡眠の質や食欲が低下したり、さまざまな変化が起こります。心と身体は繋がっているので、身体の変化に影響されて心が沈んでしまうのは、ある意味自然なことです。 また、キャリアの問題も。長年同じ仕事を続けてきた人は、定年までその仕事を続けていくのか、他の仕事に挑戦しないまま人生を終えても良いのかなど、葛藤する方もいます。 私生活では、子どもが自立したことで『自分の役割がなくなった』と感じ、空虚感や喪失感に襲われる"空の巣(からのす)症候群"に陥る方が多くいらっしゃいます。子育て中心の生活を送ってきた方が、親としての役割を卒業し、ふと自分自身を見つめた時に、この先の人生をどう生きていけばいいのか分からなくなってしまうのです。 他にも、親の介護問題に直面したり、パートナーとの関係性に悩んだり、未婚の方は独身を貫くか葛藤するなど、原因となる悩みはさまざまです。身近な人が亡くなることも増え、"人生は有限である"という事実を突きつけられ愕然としますが、若い頃のような気力がないため、絶望感に苛まれることも。こういった悩みを相談できる相手が周囲におらず、孤独感を感じている方も多いです」