転職希望先から「裁量労働制で自由な働き方ができる」と言われました。残業が多くならないか心配なのですが、大丈夫かの「見分け方」はあるのでしょうか…?
働き方や雇用形態には色々なものがありますが、「裁量労働制」については「自由な働き方」「定額働かせ放題」などさまざまな意見があります。 ▼有給休暇の取得に会社の許可は絶対に必要?「繁忙期」でも取得できるの? 業務の特性に応じて、時間に縛られない自由な働き方を認めることで仕事の効率や生産性を高める、という趣旨の制度ですが、なかには適正な運用がされないケースもあるようです。 ただ、4月から裁量労働制について制度の見直しが行われ、適用範囲の一部拡大や労働者保護の仕組みも追加されています。 本記事では、働く人の目線で、裁量労働制を採用している企業の「ブラック」と「ホワイト」を見分けるポイントを解説します。
裁量労働制とは何か
裁量労働制とは、実際の労働時間にかかわらず、労使協定や労使委員会などであらかじめ定めた時間を労働時間とみなす制度です。 業務の性質上、業務の遂行の手段および時間配分の決定等を業務に従事する従業員に大幅に委ねる必要がある場合に適用されます。会社からの具体的な指示が困難であり、労働者の裁量に任せる方が、仕事の効率や生産性を高めるケースに認められるものです。 裁量労働制の場合、始業・終業時刻を含む時間配分の決定は当該従業員に委ねられます。 例えば、みなし労働時間を労使で9時間と定めた場合、実際の労働時間が7時間や10時間でも、9時間労働したものとして、1時間分の割増賃金を含む賃金が支払われます(所定労働時間を8時間とした場合)。 対象業務は「専門業務型」として20種類、「企画業務型」として「事業運営の企画、立案、調査および分析の業務」が定められています。システムエンジニア(SE)は、「専門業務型」に該当する場合があります。
対象業務は厳格に定められている
裁量労働制の対象となる業務の要件は、極めて厳格に定められています。例えば、専門業務型のシステムエンジニア(SE)については「情報処理システムの分析又は設計の業務」とされており、プログラムの設計や作成を行うプログラマーは含まれません。 企画業務型についても、「事業運営の企画、立案、調査および分析の業務」の定義が厳格に定められています。また、対象業務と異なる業務(非対象業務)を混在して行う場合には、たとえ、非対象業務が短時間であっても裁量労働制は適用されません。