「ボトックス注射」をやらない方がいい人の特徴はご存じですか? 持続期間や注意点も医師が解説!
ボトックス注射の禁忌・注意点
編集部: ボトックス注射を受けるにあたって、注意事項はありますか? 林先生: 妊婦、授乳婦には禁忌とされています。特に妊婦の場合、海外で胎児への影響が報告されていることから、治療後3カ月は避妊をするよう推奨されています。また、添加物の「ヒト血清アルブミン」というタンパク質のアレルギーがある人も受けることができません。 編集部: 治療を受けられない人もいるのですね。 林先生: はい。そのほか、重症筋無力症など神経筋結合部の疾患がある人、筋弛緩剤を内服中の人も受けることができません。筋弛緩剤を内服している人がボトックス注射をおこなうと、嚥下障害や呼吸困難のリスクがあります。 編集部: そのほか、注意すべきことはありますか? 禁止事項があれば教えてください。 林先生: 注入の際、内出血を起こすことがあるので、大きなイベントの直前(7~10日程)は施術を控えることが推奨されています。基本的に、注入後に大きな日常生活上の制限はありませんが、内出血が見られる際には、スポーツ、サウナ、飲酒など身体を過度に温めたり、血圧が上がったりするようなことは避けましょう。 編集部: そのほか、打つことができない人はいますか? 林先生: 禁忌ではありませんが、眼瞼下垂の症状の強い人は、おでこ(前額部)や眉間のシワ取り目的での使用は注意が必要です。目を開くことがますます困難になったり、眉毛の外側の挙上が目立つようになったりする可能性があります。
ボトックス注射はいつ受けるべき? ベストタイミングは?
編集部: ボトックス注射を受けるのに適したタイミングはあるのでしょうか? 林先生: 施術する部位にもよりますが、ボトックスの効果が表れるのは注射をしてから2~3日後より1週間後とされています。そのため、大事なイベントがある場合は、内出血のリスクも加味して、日にちを逆算し施術を受けるのがいいと思います。 編集部: 部位によっても効果の持続期間は異なるのですか? 林先生: 部位による効果持続時間はあまり差がないと感じており、一般的に効果は3~6カ月持続するとされています。そのため、効果が弱まる4~5カ月間隔での治療がおすすめです。 編集部: 連続して注射しても問題ないのですか? 林先生: 繰り返し注射することによる問題は経験上ほとんどありません。ただし、少なくとも効果が弱くなってからおこなうことをおすすめします。注射を繰り返すことで、ボトックスに対する抗体ができてしまい、効果が無くなったり弱くなったりする報告もありますが、その割合は1~3%と決して高くはありません。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 林先生: ボトックス注射は美容医療の分野でも、ポピュラーな美容施術として確立されており、過度に不安になる必要はありません。しかし気をつけたいのは、ヒアルロン酸注入と違い、施術後の修正はほぼ不可能ということです。そのため、満足度の高い治療を受けるには、医師の技術と経験を考慮して医療機関を選択することが必要です。どこで治療を受けても同じ効果が得られるというわけではないため、決して価格だけで安易に選ばず、信頼できる医療機関を選ぶようにしましょう。