「胸が苦しくなる」のは体からのSOS...心身の疲労が取れる全身ストレッチ
「深呼吸」で胸郭をストレッチする
完全にダウン、というほどでなくても、誰しも調子のアップダウンはあります。そんなパッとしない状態における大切なマインドとして、「アップダウンはあっても、平均的なレベルを向上させることはできる」という考え方があります。 特にモヤッとした調子の悪さには、普段から意識が薄い体の部分に、疲労が溜まっている可能性があります。そのひとつが、呼吸に関わる部分です。 あなたは普段から深呼吸を意識していますか? マインドフルネスや瞑想がポピュラーになった現代だからこそ、ひとつおすすめの呼吸法をお伝えします。 それは、肋骨で構成される「胸郭」のストレッチです。このワークでは、吸ったり吐いたりの意識はそこまで気にしません。特に呼吸法に慣れていない場合、「○秒吸って○秒吐く」といった呼吸のコントロールは、緊張が生まれやすいからです。 呼吸を運動として捉えたとき、主に働く筋肉は「横隔膜」です。焼肉でいえばハラミ。その横隔膜が動くことで、肋骨が構成している胸郭に空気が入ったり出たりします。 胸郭は、左右12本ずつ肋骨が連なっていて、それぞれの隙間には筋肉と神経や血管が張り巡らされています。動きも少ない上に、小さく、筋肉の数も多い。加えて、心理的なストレスの影響を受けやすい呼吸に関わる部位のため、日常的に緊張が生まれやすく、疲労が溜まりやすい部分です。
「胸郭」を伸ばすことで、全身の疲労が取れる
落ち込んだときにシュンと体が小さくなるのも、緊張によって息が詰まるのも、胸郭が小さく固まることが原因です。 でも、腕や足と違って意識が薄いため、疲労に気がつきにくいという特徴があります。「うぅ~ 肩が凝った!」とはいいますが「あぁ~ 胸郭が凝った!」とはいいませんね。いたらなかなかの変人だと思います。つまり、この部分を物理的にときほぐすことで、漠然とした疲労感や調子の悪さを解消できるのです。 やり方はシンプルです。 手を上へ伸ばして、背伸びをします。少しオヤジくさく「うぁ~」と声を出すのも、吸い込んだ空気が漏れすぎるのを防ぎ、胸郭が効率よく伸ばされるためとても意味があります。背伸びしたときのあの声にも、ちゃんとした理由があるのです。 ただ背伸びをするだけでもいいのですが、せっかくなのでもう少し細かくやってみましょう。手を高く上げて背伸びをしながら、ちょっとだけ前側に体を倒して、背中を伸ばす。今度は後ろへ、胸を伸ばす。 高く上げた手を少し右に傾けて、左脇を伸ばす。反対に左へ傾けて、右脇を伸ばす。こうして胸郭全体を伸ばして刺激を与えることで、呼吸をするときに空気が存分に行き渡るような胸郭が出来上がります。
大沼竜也(鍼灸師)