76年ぶりにハワイで悲願の鉄道復活も「空気を運んでいる」!? 膨らむ事業費、空港や商業施設を結ぶ日は来るのか 連載『鉄道なにコレ!?』【第66回】
スカイラインが中心部への乗り入れを果たすのは、ホノルル市役所に近いシビックセンター駅への延伸時だ。ミドル・ストリートから6駅延びるようになる。 開業予定は2031年で、2012年時点の計画と比べて11年遅れる。それでも、観光業関係者は「現在の情勢では、2031年には絶対に間に合わない」と断言する。 ▽「アラモアナセンター」までの全線開業に黄信号 しかも、計画通り全線を開業できるかどうかにも黄信号がともっている。シビックセンターから2駅延ばし、ホノルルの名所となっている大型商業施設「アラモアナセンター」の近くに駅を設けることがスカイラインの最終形だと位置付けられてきた。 しかしながら、シビックセンターから延伸する開業目標時期を設定できていないのだ。 背景には建設費が膨れあがり、十分な予算を確保できるかどうかを見通せない事情がある。全体の総事業費は2021年時点の見通しで124億5千万ドル(約1兆8700億円)規模となり、2012年時点の計画(51億6400万ドル)の約2・4倍に膨らんだ。
ホノルル市のリック・ブランジャルディ市長は「シビックセンター駅までの開業はスカイラインの初期段階だ」と位置付け、アラモアナセンターへ延伸する意欲をにおわせる。 計約350の物販店や飲食店が集まったアラモアナセンターは、日本人旅行者の人気買い物スポットだ。 日系メーカーが車両を製造し、日本人旅行者の利用拡大も見込まれるスカイラインが首尾よく「全線開通」することを期待したい。 【ハワイと日本を結ぶ航空路線】全日本空輸(ANA)は、日本の航空会社で唯一導入しているエアバスの総2階建て旅客機A380が成田空港(千葉県)と1日2往復している。エコノミークラスでも就寝しやすいように、追加料金を支払えば3席または4席を一組としてベッドのように使えるユニークなサービスを実施している。 日本航空(JAL)は、グループ内で高付加価値型と価格重視型の〝二刀流〟で対抗する。同じボーイングの中型機787を使って日航が羽田空港(東京)と結んでいる一方、格安航空会社(LCC)子会社のジップエアトーキョーは成田とつないでいる。
アメリカ勢では、アラスカ航空グループが2023年12月に買収することを発表したハワイアン航空が羽田、関西、福岡各空港と結ぶ。20年3月まで成田線を運航していたデルタ航空は、代わりに羽田とつなぐ路線を23年10月に開設した。 ※『鉄道なにコレ!?』とは:鉄道に乗ることや旅行が好きで「鉄旅オブザイヤー」の審査員も務める筆者が、鉄道に関して「なにコレ!?」と驚いた体験や、意外に思われそうな話題をご紹介する連載。2019年8月に始まり、ほぼ月に1回お届けしています。鉄道以外の乗り物の話題を取り上げた「番外編」も。ぜひご愛読ください!