76年ぶりにハワイで悲願の鉄道復活も「空気を運んでいる」!? 膨らむ事業費、空港や商業施設を結ぶ日は来るのか 連載『鉄道なにコレ!?』【第66回】
▽速足で前面展望の〝特等席〟へ…でも乗客は2人だけ 自動改札機を抜けた後は速い足取りで、脇目も振らずに上りエスカレーターでプラットホームを目指した。というのも、日立製作所のグループ会社が製造した4両編成の電車の両端にそれぞれ1席だけある〝特等席〟をゲットしたいと考えていたからだ。 スカイラインは原則として無人運転だが、このいすは運転士が手動で電車を動かす必要が出た場合のために置いている。乗務員がいない場合には乗客が腰かけることができ、運転士気分で前面展望を味わえるのだ。 沿線にはスカイラインが安全に走っていることを確認する運行管理センターがある。ここで係員が電車の走行位置や、電車内や駅のリアルタイム映像などを監視している。 だが、ホームにたどり着くと、速足で向かってきたのが取り越し苦労だったと気づいた。利用者が線路に転落するのを防ぐ可動式のホーム柵が整備された立派なホームで待っていたのは他に1人だけで、別の位置にいたのだ。
いす取りゲームを演じることもなく、到着した電車の〝特等席〟に腰かけた。定員が800人に達する電車は、わずか2人の乗客で出発した。 前面展望を眺めていると、利用者が少ない理由は一目瞭然だった。開業した区間はホノルル中心部から離れており、高層マンションやビルが建っているのは駅周辺だけなのだ。 代わりに目立つのは畑や空き地で、沿線開発の余地は伸びしろしかないという印象だ。 ▽日本ならば赤字ローカル線並み 電車は平日ならば午前5時ごろから、土・日曜日と祝日には午前8時ごろ運行している。10分おきに来るので、ほとんど待たずに乗れる。ただし、終電の出発は毎日午後7時ごろと早い。 HARTによると、今年5月の1日利用者数は1920~3619人となっており、日本ならば赤字のローカル線並みの低水準だ。 途中で数人が乗り降りしたが、終点のイーストカポレイで下車したのは私だけだった。 アロハスタジアムへ折り返す帰路の電車も、乗り込んだのは計10人に満たなかった。車内には自転車を立てかけることができるラックも備えているが、私が乗った電車では使われていなかった。