76年ぶりにハワイで悲願の鉄道復活も「空気を運んでいる」!? 膨らむ事業費、空港や商業施設を結ぶ日は来るのか 連載『鉄道なにコレ!?』【第66回】
「空気を運んでいる」という現地情報が正しかったことを確認し、宝の持ち腐れになっているのを残念に思った。 オアフ島の足となっているザ・バスは「道路渋滞が深刻なため遅れることも多い」(利用者の女性)という課題を抱えている。 これに対し、スカイラインは安全安定輸送が強みだ。一度に大勢の利用者を運ぶのが可能で、完全自動運転のため人手不足に陥る心配は少ない。専用の高架軌道を走り、ホーム柵も備えているため安全性も万全だ。 ホノルルのホテル勤務の女性は「スカイラインが中心部に延伸すれば通勤客や観光客が自動車利用からシフトし、道路渋滞も改善されるのではないか」と予想する。 ▽破壊された?空港脇を通るスカイライン 実は2014年に公開されたハリウッド版の映画「GODZILLA ゴジラ」には、当時は未開通だったスカイラインがすでに登場していた。 ゴジラの宿敵となる怪獣「MUTO」(未確認巨大陸生生命体)がオアフ島に上陸。ホノルル国際空港脇にある鉄道の高架橋を破壊し、電車の一部車両が転落しそうになる場面が描かれているのだ。
開業前だったため車両の外観や車内レイアウトは実際と異なるものの、ハワイ州の住民には「路線が国際空港を通ることが決まっていたので、前祝いで登場させたのではないか」とみる人もいる。 ハワイ州の外国からの国別旅行者数で、日本は不動の首位だ。映画のように、スカイラインが国際空港へ延伸すれば、日本人旅行者の利用拡大も期待されるだろう。 ▽空港駅の開業は2025年後半 日本からハワイ州への2023年の訪問者数は約57万3千人と、新型コロナウイルス禍で低迷していた前年の約3倍に膨らんだ。 日本路線が多く発着している国際空港の正式名称は2017年、連邦上院議員を約50年間務めた日系アメリカ人を顕彰してダニエル・K・イノウエ国際空港と改称された。 スカイラインで最寄り駅となるダニエル・K・イノウエ国際空港駅は2025年後半に開業する予定だ。アロハスタジアムの2駅先となる。 ただ、その時点で延伸される区間はアロハスタジアムの4駅先のミドル・ストリート・トランジットセンターまでと短い。その先にあるホノルル中心部へ向かうにはザ・バスに乗り換える必要がある。