YouTube ショッピングはTikTokとのソーシャルコマース競争でどのように競争力を高めているか
ソーシャルコマース競争でのメタの優位性とYouTubeの進化
一方、メタ(Meta)のプロパティは引き続きソーシャルコマースで優位を保っており、インスタグラムはおそらくZ世代の買い物客の71%を獲得している。Facebookはソーシャルコマースの購入者数が年間6460万人と予想されており、生の数字でトップを走っている。 インフルエンサーエージェンシー、ディフラクション(Diffraction)の共同創業者、ジョセフ・ソティル氏は、YouTubeショッピングのアップデートは、複数のプラットフォームを利用するクリエイターにとって朗報だと述べた。TikTokで成功を収めた人々は、これらの新しいツールを使ってYouTubeにコンテンツを持ち込むことができる。 それによってクリエイターは新しいオーディエンスにリーチし、アフィリエイト関係からより多くの利益を得られるようになるだけでなく、プラットフォームを超えてファンに向けて複数のタッチポイントを作ることができる。 「簡単に二重に利益が得られる」とソティル氏は述べた。「TikTok Shopで成功した人々やほかのクリエイターたちが、YouTubeに我々の教訓を持ち込んでくれることを楽しみにしている」と話す。 YouTubeは、クリエイターがマーチャンダイジング動画を販売できるようになった遅くとも2018年以降からショッピング機能を開発してきた。その後2022年にはShopifyとの統合のおかげもあって、クリエイターが自分のストアを作り、チャンネルから直接販売できるようになるなど、大きな広がりを見せた。
アルファベット幹部のコメントで明らかになる成功の方程式
またYouTubeパートナープログラム(YouTube Partner Program)に参加しているクリエイターへのアフィリエイトプログラムの拡大など、それ以降も数多くの調整やアップデートが行われている。 これらのアップデートにどのくらいの期間取り組んでいるかについて、YouTubeは米モダンリテールには明かさなかったが、広報担当者はeメールにて、クリエイターからのフィードバックは新たなアップデートをまとめる上で非常に重要だったと回答した。 「たとえばコレクション(Collections)のような機能は、要望が高かった。すでに多くのファンがお気に入りのクリエイターに定番商品や一番好きなアイテムをよく尋ねていたからだ」と広報担当者はメールに記している。「この機能によって人々がお気に入り商品を購入しやすくなり、収益を増せるようになることを願っている」。 これはアルファベット幹部のコメントをも反映している。同社のシニアバイスプレジデントでチーフビジネスオフィサーのフィリップ・シンドラー氏は第4四半期決算説明会で、「YouTubeの成功はクリエイターの成功から始まる」と述べている。YouTubeの広告収入は前年同期比16%増の92億ドル(約1.4兆円)に達した。 「クリエイターがさらに増えるということは、コンテンツも増え、その結果として視聴者もさらに増える。そしてこれらの視聴者は広告やサブスクリプションを通じてYouTubeのクリエイターに資金を提供し、広告主が求める訪問者数とエンゲージメントを促進する」とシンドラー氏は語っている。 [原文:How YouTube Shopping is upping its social commerce competition with TikTok] Melissa Daniels(翻訳:Maya Kishida 編集:坂本凪沙)
編集部