2025年はARグラスの黎明期に? 「ソーシャル向け」「オープン化」などのキーワードからXRデバイスの展望を予測
2025年最初の「Weekly Virtual News」では、様々な動きが見られたXRデバイスの動向を整理しつつ、2025年以降の展望を予測していく。 【画像】2025年に発売されたXR関連のデバイスたち ■ソーシャルVR向けデバイスは隆盛するか 2024年はVRヘッドセットの勢力図に大きな変化は起きなかった印象だ。Metaからは『Meta Quest 3』の廉価モデル『Meta Quest 3S』が発売。かわりに『Meta Quest 2』と『Meta Quest Pro』の終売が告知された。デバイスの世代交代が行われた形だ。 PICOからは『PICO 4』の上位モデル『PICO 4 Ultra』が発売。だが、それ以上に話題になったのは専用モーショントラッキングデバイス『PICO Motion Tracker』だろう。税込11,800円で、足首に装着するだけで『VRChat』など全身を動かせる「フルトラッキング」を体験できる、お手軽な入門機だ。このデバイスだけ売り切れが起こるほどの評判であった。 その他にも『VRChat』狙い撃ちなデバイス発表が相次いだのが印象的だ。Shiftallからはハイエンドヘッドセット『MeganeX superlight 8K』や、安定した評価を得てきたモーショントラッキングデバイス「HaritoraX」シリーズ最新機種の『HaritoraX 2』が発表されている。 また、気鋭のデバイスを手掛けるDiver-Xからはグローブ型コントローラーの『ContactGlove2』や、光学式トラッキングシステム『ContactTrack』が発表された。ソニーのモバイルモーションキャプチャー『mocopi』も、PC連携のアップデートを強化している。 2024年を振り返ると、ストリーマーの紹介をきっかけに、日本国内で空前の『VRChat』ブームが起きた。最初はPCから“平面”で体験するものの、全身を動かすVRユーザーを見て、VRヘッドセットの購入を決断するユーザーは意外と多い。『VRChat』がキラーVRコンテンツとして発展していけば、それにマッチしたデバイスの需要も増えていくことだろう。 ■ARグラスの黎明期はすぐそこに? ARデバイスの領域でも、Metaはたしかな成果を挙げた。『Meta Quest 3S』と同タイミングで、ARグラス『Orion』を発表したのだ。プロトタイプの段階だが、視野角70度を実現したメガネのようなデバイスの評判は、先行体験者の間ではなかなかに良い。 すでに市場に流通している「XREAL」シリーズからも、1月17日に新型機種『XREAL One』が発売される。デバイスと接続するタイプのARグラスだが、従来機種と比較して、デバイス本体に専用チップが搭載されており、低遅延処理を実現しているのが特徴だ。顔にかけるディスプレイとして、より洗練された新型といったところか。 ほかにも、SnapやDynabook、MiRZAなど、ARグラスの新型発表が2024年は定期的に見られた。“完全なARデバイス”の実現がいつになるかは読めないものの、MetaやXREAL、そして後述するGoogleが大きく牽引していく可能性が見えてきた。 ■XRデバイスOSのオープン化の流れに期待 業界的に大きなニュースとしては、GoogleがXRデバイス向けOS「Android XR」を発表した件が挙げられる。さらに、サムスンより同OSに対応したMRヘッドセット、コード名「Project Moohan」が2025年に発売予定だ。 そして、このほかにソニー、Lynx、XREALからも対応デバイスが出ると告知されている。さながら本家Androidのように、多種多様なXRデバイスが各社から発売される未来があり得そうだ。 同種の展開として、MetaがVR・MRヘッドセット向けOSを「Meta Horizon OS」に名称変更し、他社に向けて開放するというニュースもあった。すでにASUSとLenovoがデバイス開発を進めているとのことで、こちらも今後様々なデバイスの登場が予感される。一社だけで独占するのではなく、OSをオープンにし、多くの企業からのデバイス登場を期待する流れが、2025年以降は続くかもしれない。
浅田カズラ