「電話が怖い…」鳴るたびに動悸、手汗…世界中で広がる「電話恐怖症(テレフォビア)とは…アメリカでは8割の若者が電話に不安感を
中高年でも苦手な人は多い
電話が苦手なのは若者ばかりとは限りません。社会経験を積んだ中堅社員からも、「電話がかかってくると緊張する」「うまく話せない」といった相談が少なからずあります。 ある企業の重鎮の取締役から相談を受けたことがあります。その方は社内の重要ポストを歴任し、数々の修羅場をくぐり抜けてきた経験豊富な人間ですが、「実は電話が鳴るのがこわいんです」と打ち明けてくれました。 その方の場合、電話がこわくなった理由は、電話が鳴るのがたいていトラブルのときだからというのです。 電話の用件は、その方にかけてこなければならないほど重大なトラブルか、急用です。「また何か重大案件が……」と思ってドキッとするそうです。 責任が重くなればなるほど、電話の用件も重くなる。あたかもパブロフの犬のように、電話が鳴る=緊急事態が起きた、と刷り込まれてしまっているので、電話がこわくなってしまったのでしょう。 また、この方とは立場が真逆の、いわゆるラインから外れた中年社員から相談を受けたこともあります。 この方の部署はめったに電話が鳴りませんが、それゆえたまに鳴ると、どうしようかとうろたえてパニックになり、電話に出ることもできないそうです。 その人の世代では電話のツールが日常的にあったはずですし、経験値も低くありません。 それでも電話が苦手ということは、電話以前の問題、つまりもともとの他部署との関係性やコミュニケーションに問題があるのではないでしょうか。 このようにたとえ中高年の社員で、十分電話というツールに慣れ親しんでいても、「電話がこわい」「電話が苦手」という人は一定数存在すると思っていいでしょう。 文/大野萌子 写真/Shutterstock
---------- 大野萌子(おおの もえこ) 法政大学卒。企業内カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで講演・研修を行う。著書『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)はシリーズ累計51万部のベストセラーに。 ----------
大野萌子