皮下脂肪 vs 内臓脂肪 医師が見てヤバイのはどっち? 病気のリスクが高いのは…
皮下脂肪と内臓脂肪、どっちがヤバイの?
編集部: 『皮下脂肪型肥満』と『内臓脂肪型肥満』、どちらも病気と関係が深いのですか? 高橋先生: どちらも肥満であることには変わりないので、どちらも注意が必要です。しかし、内臓脂肪型肥満の人のほうが、よりリスクは高いと言えます。 編集部: そうなのですね。 高橋先生: はい。皆さんは脂肪肝という言葉を聞いたことがあると思います。これは肝臓に脂肪が沈着している状態で、この状態を続けていると炎症を起こし、やがて肝硬変になってしまうのです。さらには、肝硬変は肝臓がんになりやすいといった悪循環に陥っていきます。 肝臓における疾患といえば、少し前まではウイルス性肝炎などが取り上げられていましたが、最近はこの「脂肪肝」が特に注目を集めており、脂肪肝から肝臓がんになる人は、今後ますます増えるだろうと言われています。 このように、内臓に脂肪がついていると、内臓そのものの働きに影響が出やすいため、より病気のリスクは高くなると言えます。 編集部: なるほど。 高橋先生: もちろん、皮下脂肪型肥満だからといって安心というわけではありませんし、見た目だけで「下半身に脂肪がついているから皮下脂肪型肥満」と思っていても、実は両者が混合していて、内臓にも脂肪がついているというケースも考えられます。 必要以上に体型を気にするのは良くありませんが、日本人はとくに肥満の影響を受けやすいので、ある程度ご自身の体型や体脂肪率などは意識して過ごすことをお勧めします。 編集部: 日本人は肥満の影響を受けやすいのですか? 高橋先生: 日本人を含めたアジア人全般に言えることですが、欧米人と比べて内臓に脂肪がつくケースが多いため、同じ体脂肪率でも内臓に負担がかかっていることが多いのです。 日本人を含めたアジア人は、アメリカなどで基準値が示されているBMIから、2.5くらいマイナスして考えましょうとも言われているくらいです。 編集部: 確かにそうですね。 高橋先生: 肥満については、決して外見的、審美的な問題だけではないことは知っておいていただけたらと思います。 最近は医療機関でも、肥満治療や医療痩身、減量外科治療などの相談に乗ってくれるところも増えていますので、健康診断などで「肥満」や「軽度肥満」と指摘された方や体重が増えて気になっている方などは、一度相談してみても良いかもしれません。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 高橋先生: 脂肪のつき方や、肥満がもたらす病気のリスクについてお話ししましたが、肥満は今や、医療機関でも治療できる時代です。その際は、専門家の意見をきちんと聞き、コミュニケーションをしっかりとった状態で治療を選択されることをお勧めします。 例えば、皮下脂肪型肥満の人が、安易に過度な脂肪吸引をして皮下の脂肪細胞の数を減らしてしまうと、皮下に蓄積できなくなった脂肪が内臓に直接沈着するようになることもあります。そうなると病気のリスクは上がってしまうので、逆効果です。 そういった場合は、例えば、脂肪を燃焼させて筋肉をつける「EMS」などを用いた痩身などが効果的だと思いますので、皆さんもそれぞれにあった方法で健康な体に近づけていきましょう。