「本来の姿を見せただけ」「PKなしで二桁を」貴史なら当然――遠藤保仁コーチが2024年の宇佐美を語る。その言葉を聞いた本人は…
「現役時代は『もう自由にやれ!』。今は…」
近年は苦戦を強いられていたガンバ大阪だが、スペイン人指揮官ダニエル・ポヤトスが率いて2年目の今季は、大きく躍進。J1連覇を果たしたヴィッセル神戸とは勝点6差の4位、天皇杯でも決勝まで進み、タイトル獲得まであと一歩に迫った。 【画像】セルジオ越後、小野伸二、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「J歴代ベスト11」を一挙公開! 16位に沈んだ昨季から巻き返す原動力となったのが、キャプテンとして、遠藤保仁氏の代名詞7番を背負い、リーグ8位の12ゴールを挙げた宇佐美貴史だ。 その活躍が認められ、9年ぶり3度目のベストイレブン入りを果たしたほか、10月5日の北海道コンサドーレ札幌戦(2-1)で90+8分に叩き込んだ決勝弾は、最優秀ゴール賞に選ばれた。 ファンから多くの称賛を集めるなか、今季からコーチとしてガンバに戻ってきた遠藤氏は、2024年の宇佐美をどう評価するのか。 44歳のレジェンドは12月10日に開催されたJリーグアウォーズで、功労選手賞の表彰を受けた際に取材に対応。まず「それだけの能力がある選手だと常日頃思っている。当然のパフォーマンスをやっただけだと思う。『今年調子が良い』とか言われているみたいだけど、別に調子がいいわけじゃなくて、本来の姿を見せただけ」と“当然”のスタンスで語ったうえで、こう労いの言葉も寄せた。 「ベストイレブンとかの賞で、『また来年も頑張ろう』って気になると思うし、チームを引っ張っていく思いも、もっともっと強くなって、『来年も良いパフォーマンスを』ってなっていくはず。本当に素晴らしいシーズンを送ったとは思うし、彼ならもっとできていいと思うところもあるので、コーチの立場で、彼をもっと上、もう1個上のレベルに上げていくために、色々コミュニケーション取りながらやっていければいいかな。 現役時代は『もう自由にやれ!』ってぐらいの目で見ていた。ただ、今は要求もしていかないといけない。実際、二桁は取ったけど、PKを抜けば一桁なので。やっぱりPKなしで二桁行く、そうなれば得点王争いにも絡んでいくと思うので、その辺は彼も満足してないと思う。もっともっと伸ばしていけるために、僕らが色んなものを提示するところは、現役時代から変わったところ。貴史ともコミュニケーションを取って、今後もやっていければ」 その後、宇佐美がベストイレブンに選ばれた1人として、記者会見に出席。報道陣から「先ほど遠藤コーチが『PKを抜いたら10点に行ってないので、貴史ならもっとやってもらわないと』って話をしていた」と伝えられると、「その通りだと思う。まだまだ足りてなかったし、まだまだゴールもアシストもできた。もっとパワーアップした姿、結果で引っ張らなきゃいけない」と強い覚悟を示した。 遠藤氏に事前に許可をもらい、志願の7番で戦って2年目は、J1でPKを除けば7ゴール8アシスト。本人の言葉通り、来季は「もっとパワーアップした姿」を見せ、今季は24ゴールを奪い、2年連続でアンデルソン・ロペス(横浜F・マリノス)が獲得した得点王の争いに絡んでいけるか。 11年ぶりのJ1制覇に直結する活躍を期待したい。 取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)