2024年10月から「児童手当」は拡充されたけど、「扶養控除」は縮小に!?“所得額による影響”をシミュレーション
2024年10月から児童手当が拡充され、高校生年代(16~18歳)にも月1万円の支給が始まったほか、第3子以降の児童は従来の月額1万円から3万円へ支給額が拡大されました。加えて、これまで支給の対象外となっていた高所得世帯へも、所得額によらず支給が開始されます。 子育て世代にとってはうれしい改正ですが、一方で今まで受けられていた「扶養控除」が縮小されるというマイナス面もあります。所得額によってどれほどの影響が出るのか、実際にシミュレーションしてみましょう。 ▼「3人目3万円」に思わぬ落とし穴! 2024年12月に前倒しになった「児童手当拡充」の注意点
「扶養控除縮小」の内容を確認してみる。
財務省のサイトによると「令和6年度税制改正の大綱」に以下のような記述があります。 「16歳から18歳までの扶養控除について、(中略)現行の一般部分(国税38万円、地方税33万円)に代えて、かつて高校実質無償化に伴い廃止された特定扶養親族に対する控除の上乗せ部分(国税25万円、地方税12万円)を復元し、(中略)所得階層間の支援の平準化を図ることを目指す。扶養控除の見直しについては、(中略)令和6年10月からの児童手当の支給期間の延長が満年度化した後の令和8年分以降の所得税と令和9年度分以降の個人住民税の適用について結論を得る。」 わかりづらい記述ですが、税制改正のポイントは以下のとおりです。 ・16~18歳の子どもを1人養う場合に適用されている扶養控除額を、所得税については38万円から25万円に縮小し、住民税については33万円から12万円に縮小する ・扶養控除額縮小は、所得税は令和8年分から、住民税は令和9年度分から始まる予定である 結果として、労働者にはただちに影響はないものの、令和8年以降から扶養控除の縮小によって所得税・住民税の実質増税が行われる予定になっています。 これは子育て世代の支援のために、まさにその子育て世代に増税を行うことにほかなりませんので、筆者は子育て世代の一人として率直に疑問を感じています。