古くて新しいめまい「PPPD」とは?「3カ月以上慢性的に続く」「耳の病気との関連性」専門医が解説!
厚生労働省が行った「令和4年 国民生活基礎調査」によると、人口1000人あたり20.3人が「めまい」の症状を訴えているそう。ストレス社会の現代では、「体がフワフワするめまい」に悩まされる人が増加しています。川越耳科学クリニック院長・坂田英明先生と、めまい相談医・神崎晶先生は、「フワフワするめまい」に悩む患者さんを数多く治療してきました。今回は、お二人が「めまい」を撃退する方法をまとめた著書『フワフワするめまいを治す最強の食事術 名医が教える新しいめまい撃退法』より、一部お届けします。 【書影】めまい専門医が教える、食事を中心とした新しいめまい改善法。坂田英明・神崎晶『フワフワするめまいを治す最強の食事術 名医が教える新しいめまい撃退法』 * * * * * * * ◆古くて新しい病気である フワフワめまいという病気・症状があることは、昔から、多くの耳鼻咽喉科の医師が認識していました。 また、この100年の間に、研究者から慢性浮動性めまいを「症候群」(原因は不明だが、いくつかの症状が必ず現れるとき、病名に準じて使う医学用語)として見なそうという提案もされてきました。 例えば、私の父である坂田英治(えいじ)が、フワフワめまいを「仮性ダンディ症候群」として症候群として扱うことを提案しています(1985)。 ただ、それを1つのまとまった病気の概念として捉えようという、学会としての大きな動きはほとんどありませんでした。 そこに、大きな変化が起こりました。 2017年のことです。 めまいの国際学会であるBarany学会から、慢性めまいの原因として、「PPPD(Persistent Postural-Perceptual Dizziness:持続性知覚性姿勢誘発めまい)」という新しい病気の概念が提案されたのです。
◆PPPDの診断基準 PPPDの診断基準も提案されています。その主なポイントをわかりやすく示してみましょう。 めまいの主な症状は? ・フワフワする感じがある ・足元がゆらぐような不安定な感じ ・自分自身、あるいは外界が揺らぐ感覚(ただし、グルグル回らない)など めまいの頻度は? ・3カ月以上慢性的に続く ・ほぼ毎日、もしくは月の半分以上は起こる ・午前中はよいが、夕方になると悪化する どんなときにめまいが起こるか ・立っているときや歩いているとき ・電車や車などの乗車中やエレベーターやエスカレーターに乗っているとき ・人混みで押されたとき ・人混みで、行き交う人や往来する車などの動いているものを見ているとき ・テレビやパソコンなどで複雑な視覚パターンを見たときなど ほかの病気との関連(以下のような病気になったことがある) ・耳の病気(メニエール病など) ・内科的な病気(糖尿病、高血圧、不整脈、脳や胃の病気など) ・うつや不安症がある *PPPDは、先行した病気があり、それに続いて起こることがあるとされています フワフワめまいの背景因子と考えられるもの ・両側内耳の異常 ・脳血管障害の後遺症 ・うつ、不眠、不安 ・脊椎の異常 ・自律神経の異常 ・フレイル(サルコペニア、ロコモティブシンドローム) このようなPPPDの特徴と、自分のめまいを照らし合わせてみましょう。 症状が合致するようなら、PPPDの可能性があることになります。