「この水では米が作れない」産業廃棄物最終処分場のすぐそばの田んぼで さらに下流域でもコメを検査 川の水質悪化を懸念 農家への影響広がる 広島
ことしはコメ不足もあっておコメのありがたさを例年以上に感じますが、豊かな土壌があり、作り手もいるのにコメを作れなくなったという地域があります。また、作ったコメが新たな検査対象となったという地域もあります。 【写真を見る】「この水では米が作れない」産業廃棄物最終処分場のすぐそばの田んぼで さらに下流域でもコメを検査 川の水質悪化を懸念 農家への影響広がる 広島 私たちが取材したのは、広島県三原市本郷町の2つの地区です。近くには産業廃棄物の最終処分場があり、川の水質の悪化が懸念されています。いったい、何が起きているのでしょうか? 本郷最終処分場から3キロほど下流にある尾原地区。代々、コメ作りをしている 抦﨑雅司 さんは、コメ不足の影響で農協の買い取り価格が上がるというのに、気持ちが晴れないと言います。 コメ農家 抦﨑雅司 さん 「うちは心配ないわなと思っていたんですが、一気に水がおかしくなって汚れたというか」 コメ農家 抦﨑雅司 さん 「そこから(田に水を)引いてる。ここからずーっと何キロも…」 この夏、田んぼに引き込む川の水が泡立っているのに気が付いたといいます。 コメ農家 抦﨑雅司 さん 「ここが汚れたのが見えたんです。で、泡も入ってきます。ほかから水を引かれないからしょうがないですよね。引くしかない」 ■ことし夏 処分場の浸透水から基準値超過の「鉛」 本郷最終処分場は、「安定型」という区分で、有害物質や有機物を含まない産業廃棄物が埋め立てられることになっています。しかし、7月の県の検査で処分場の浸透水から基準値を超える「鉛」が検出され、埋め立て中止が「勧告」されました。その後、改善したとして、埋め立てが再開されましたが、生産者たちの不安は尽きません。 そこで地元の農協では、処分場の下流にある農家およそ30軒で作られたことしの玄米について、検査を行うことにしました。食品に関する国の安全基準で「鉛」の数値は決められていないため、代わりに同じ重金属の「カドミウム」を調べます。最終処分場や付近の川で、「カドミウム」が検出されたわけではありません。 JAひろしま 三原地域 林康輝 営農経済センター長 「カドミウム自体が、その処分場排水とか周辺で検出されたっていうのは、我々も聞いていませんが、(地元生産者から)生産した米に対する安全性を心配する声をいただいていましたので」