「この水では米が作れない」産業廃棄物最終処分場のすぐそばの田んぼで さらに下流域でもコメを検査 川の水質悪化を懸念 農家への影響広がる 広島
水質汚染の懸念は、鉛だけではありません。処分場のすぐそばの日名内地区では、住民が、去年7月以降、有機物汚染の簡易検査を毎日続けています。 去年6月、県の検査で有機物汚染が発覚。翌月には改善したとされましたが、住民の簡易検査では、その後も汚染を示す値が検出され続けているといいます。 住民 「多いときにはBOD300(㎎/L)、COD200(㎎/L)という数値も出ましたし、この6・7・8月、2か月以上に渡って、このような基準値を大幅に超えた状態が続いています」 川底には、真っ黒い何かが堆積しています。 住民 「下がこれなんです。これが本当の汚れなんです」 ― 真っ黒ですね。 「真っ黒ですよ、これが流れ出よるんですよ」 コメ農家 竹之内昇 さん 「こんな汚い真茶褐色の川で(コメ作りは)できませんよね。できても買ってくださいって言えませんよね」 竹之内さんたち農家は、去年7月に川が泡だって以降、川の水を田んぼに入れないと決めて、その代わりに反対の山側から水を引くことにしました。ただ、全ての田んぼに水が届くわけではありません。 ■去年夏 「処分場の排水を入れない」決断で田んぼは干上がり… 去年8月、雨水だけが頼りの田んぼが干上がってしまい、県内各地から30人の有志が駆けつけ、ため池から水を運ぶという作業に追われました。 ことしも水の状態は改善されていません。竹之内さんは先祖から受け継いできた田んぼでの「減反」を決断し、自宅用以外のコメ作りを全てやめました。 コメ農家 竹之内昇 さん 「ずっと1等(米)ですよ、ずーっと1等。自信を持って農業していましたけどね、残念でなりませんね」 一方、三原市は、今年度から日名内川の水質調査を開始。8月に基準値の4倍を超える値が検出されたことから、翌月、処分場より上流の水を田んぼに引き込む管を設置しました。 岡本幸 記者 「田んぼのすぐ横に流れるように工事が進んでいるコルゲート管の水は、処分場からの排水が混ざらないように、山からの水だけを取水できるように設置されています」