日本通オーナーが経営 メルボルンの自然の中で楽しむこだわりワイナリー
初めてオーストラリアに行ったのは今から12年前。シドニーを中心に回った撮影だったので、ここに滞在したのはわずか1日。記憶に残っているのは、波打った屋根が夕日に照らされたサザンクロス駅。移動の慌ただしさから、ほっと一息ついたホテルの窓から見えた風景だ。 英国のエコノミスト誌の調査部門で「世界で最も住みやすい都市」に7年連続で1位に選出されている街、オーストラリアのメルボルン。昨年日本からの直行便も増え、観光でも注目されているという。“世界一住みやすい街”とは一体どんなところなのだろうか。あれから12年、そんなメルボルンの街を再び旅した。
ワインの生産地としても有名なオーストラリア。特に西海岸から南東部の海岸にかけて産地が続く。ここビクトリア州もその一つで、州の郊外全域に渡り、ぶどう畑が見られる。 モーニントン半島のワイナリーはブティックワイナリーとも言われ、比較的小規模なワイナリーが多い。規模が小さいといっても、それぞれ質にこだわったワイン造りをしている。メルボニアンが集まるホームパーティーでは、自分が探し出したワイナリーのお気に入りを披露し合う、そんなことも珍しくはないそうだ。
モーニントン半島でも評判のワイナリー、モンタルトを訪ねた。オープンテラスのすぐ側から一つ向こうの丘陵地まで、延々と緑のぶどう畑が広がる。レストランを併設していて、ワインに合う料理の食材も自家製の有機野菜。1500本ものオリーブの木を植え、オリーブオイルも作っている。
ファミリーでこのワイナリーを営むオーナーのジョン・ミッチェルさんは、日本の食品メーカーで働いたこともある日本通だ。オーストラリアは多民族が暮らす国、その中でも日本人とは密接なつながりを感じるという。テラスに案内してくれたミッチェルさんが話してくれた。 「ソースや飾り付けでごまかさず、素材そのものを生かした和食にすごく影響を受けたよ。ここではそれを実践しているんだ。世界にはいろいろな料理があるが、これからは和食に影響を受けたという方が、ステータスになっていくんじゃないかな、私はそう思うよ」。(つづく) ※この記事はTHE PAGEの写真家・倉谷清文さんの「フォト・ジャーナル<世界で最も住みやすい街メルボルンへ>倉谷清文第11回」の一部を抜粋しました。 (2018年3月撮影・文:倉谷清文)