かつて目の前で魚を捨てられた漁師、処理水放出後の応援ムードに目頭熱く… 専門家は中国の存在影響と指摘
取材を終えて
「相馬の魚はおいしい!」石橋さんと出会った去年の9月から、取材やプライベートなどで10回以上お会いしたが、石橋さんが毎度必ず口にする言葉です。震災や原発事故があっても、漁師たちがこの福島の海を守り続ける根底にあるのは、自分たちが捕ってきた魚に対する自信と誇りなのだと強く感じました。そして、福島の魚介類は国内で最も厳しい検査をクリアしていて、その安全性は保証されていると考えています。 しかし、「魚を捕ることだけを考えれば良い」という訳には行かないのも福島の漁師たちに課せられた難題です。その逆境を、石橋さんはチャンスに変えようとしています。「漁師だからこそわかる魚の安全性と魅力」を直接消費者にアピールすることで着実に信頼を重ねてきました。福島の海を未来に紡ぐために、石橋さんら漁業関係者は私たちが想像できないほどの努力を積み上げたのだと想像します。ただ、、それを一瞬にして壊してしまうことにもなりかねなかったのが処理水の海洋放出です。廃炉を進める上で必要不可欠な一歩であったとしても、漁業関係者の理解を得ずに放出したのは問題だと思います。あれから1年、福島の魚介類への目立った風評被害は確認されていませんが、一部国地域による禁輸措置、中国からの迷惑電話による被害が確認されていました。被害を受けた人への補償はもちろん、処理水の安全性を国際社会にアピールし続けることが政府に求められています。 福島の漁業は福島第一原発とは常に隣り合わせの状況にあります。処理水放出後は、作業員の身体汚染や停電など、トラブルが相次いだ廃炉作業。何かが発生するたびに、「風評被害が再燃しないのか」と漁業関係者は不安な日々に晒されています。地元メディアの一員として、政府や東京電力に対して、責任と覚悟を持って、安全安心な廃炉作業を着実に進めることをしっかりと求めていきたいと思っています。そして、福島の魚介類は安全で美味しいことが1日でも早く、世界中に知れ渡ることを願っています。 ※この記事は福島中央テレビとYahoo!ニュースによる共同連携企画です。
福島中央テレビ