2024年元日、洗濯機の中のような激しい揺れが…能登半島地震で在住漫画家が体験した恐怖
元旦に起きた「令和6年能登半島地震」
2024年1月1日16時10分頃、石川県能登地方でマグニチュード7.6、石川県の志賀町(しかまち)の最大震度7のほか、震度6強を七尾市や珠洲市、穴水町で、震度6弱を中能登町と能登町、新潟県長岡市で観測した。 【漫画を読む】2024年が明けたばかりのあの日、能登半島で何が起きたのか。 12分後の16時22分、石川県能登に大津波警報が、山形県、新潟県上中下越、佐渡、富山県、石川県加賀、福井県、兵庫県北部まで津波警報が発表された。 1年前に起きた「令和6年能登半島地震」により、多くの家屋が倒壊し、輪島市などでは大規模な火災も発生した。断水や津波の危険がある中での消火は困難を極めたという。 専門家の調査では、火災の発生率は東日本大震災を上回っていたそうだ。 2024年12月10日の県発表によると、石川県全体の住宅被害は9万6151棟で、このうち6076棟が全壊している。 石川県七尾市在住の漫画家によるリアル震災体験コミックエッセイ『令和6年能登半島地震体験記』(まえだ永吉著 / KADOKAWA)は、1年前の能登半島の大地震での体験を綴っている。 その日、初詣を済ませて部屋でリラックスしていた著者のまえださんのスマートフォンの緊急地震速報が鳴り響いた。 直後に、まるで洗濯機の中にいるかのような激しい揺れが襲ってきたという。 気象庁が出した大津波警報で、家族で避難。その後警報が解除され、なんとか家に戻れたものの、水道は使えず、頻発する余震に備えて車中泊を余儀なくされる過酷な日々の詳細を、漫画に描いている。 短期連載第1話では、地震が起こる前の、まえだ家で一緒に暮らす父、母、弟、そして隣家に住む祖父母との穏やかな正月と、地震が起こった時の様子を、まえださんのインタビューとともにお伝えする。
大地震が起きて、最初にやったこと
――体験したことのない大地震でした。震度6強を観測した七尾市に住むまえださんは、16時10分の揺れがあったとき、最初に何をされましたか。 「揺れているときは、ただただ家族で身を寄せ合って揺れに耐えていました。 とんでもないことが起こっているというのはわかっているのですが…… でも後で漫画にできるくらい、自分には周りの状況が見えていたんですね。 というのは、最初に漫画を家族に見せたとき『よく車の揺れ方とか、川の水の揺れ方とか、見てられたね』と言われました。 揺れがおさまってしばらくは放心していたのですが、父の『津波!』という一言で全員が急いで避難準備を始めました」 漫画ではその時の様子を、「洗濯機の中にいるような、回転が混じった激しい横揺れに、車とそばにある川が左右に大きく揺さぶられていた」とすさまじい揺れが描かれている。 「揺れがおさまるのを待つが……」「一向におさまらない」という恐怖の中で、まえださんの観察眼に驚かされるが、無意識にその風景を記憶していたようだ。