FA人的補償で西武移籍の内海は元阪神・榎田の前例に倣えるか?
西武がFAで巨人に移籍した炭谷銀仁朗(31)の人的補償として巨人の内海哲也(36)を獲得した。通算133勝のベテラン左腕。若手育成に主眼を置く巨人が功労者を泣く泣くプロテクトから外したものだが、菊池雄星(27)のメジャーへのポスティング申請で左の先発候補を欠く西武からすれば格好の穴埋め補強だ。今季は阪神からトレードで獲得した左腕の榎田大樹(32)が11勝4敗とブレイクした前例がある。内海は“柳の下の二匹目のどじょう”となれるのだろうか?
内海は6月に交流戦の西武戦で好投
巨人ファンにとってはショックだろうが、西武にとっては、絶好のビッグネームだ。全盛期は過ぎたとはいえ、内海は、2011年、2012年に連続最多勝。通算7度の2桁勝利を挙げ通算133勝の実績を持つ。 「即戦力。若手の手本になれる」 辻監督はV旅行前から内海指名を決めていたという。 今季は15試合に登板、5勝5敗、防御率4.17の成績だが、パ・リーグとの交流戦では、中6日のローテーで回って3試合に登板。防御率1点台の相性の良さを見せた。 実は6月10日には西武戦に投げて7回まで7安打2失点とゲームを作り、最終的にはサヨナラ勝利に結びつけている。5三振1四球とコントロールに優れ、楽天にFA移籍した3番の浅村栄斗を3タコに封じ込んだ。ひょっとすると、辻監督には、この試合での内海の好投が脳裏に焼きついていたのかもしれない。ちなみに続く17日のロッテ戦では5回3分の2を無失点に抑えている。 元千葉ロッテの評論家、里崎智也氏も「西武のチーム状況を考えれば、期待値に賭ける若手よりも実績のある内海を希望したのは理解できます。西武の打線は凄いですが、チーム防御率は4点台。菊池が抜け、先発の椅子がひとつ空いたわけです。補強はドラフト、トレード、外国人の3つの方法しかありませんが、ドラフトでは即戦力と期待の大学生を1位指名していますが、そこは未知数で、外国人もまだ一人しか獲得していませんし、こちらも未知数。金銭よりも人的補償を選ぶ理由は理解できるし、実績面を重視したのでしょう」と、内海を選んだ西武のチーム事情に理解を示す。 オフの投手陣補強は、長身右腕でメジャー2勝だけのザック・ニール、巨人を戦力外となったトライアウト組の台湾出身、廖任磊、単独でドラフト1位指名した日体大の松本航くらいで、とても磐石とは言えない状況だった。