1-3月GDP改定値を年率2.9%減に下方修正、基礎統計の修正反映
(ブルームバーグ): 内閣府は1日、2024年1-3月期の実質国内総生産(GDP)改定値を年率2.9%減に下方修正した。国土交通省所管の建設総合統計が過去にさかのぼって修正され、公共投資が下振れしたことを反映した。
前期比は0.7%減に引き下げられた。今回の修正では、公共投資が前期比1.9%減と、改定値の3.0%増から大幅に引き下げられた。民間設備投資は0.4%減で同じだった。6月に発表された実質GDP改定値は前期比年率で1.8%減(速報値2.0%減)、前期比は0.5%減(速報値と同じ)だった。
日本銀行の植田和男総裁は景気は緩やかな回復を続けるとの見通しの下、7月の追加利上げの可能性を排除していない。今回の下方修正で日本経済の停滞感がさらに明確になり、日銀は追加利上げのタイミングについて難しい判断を迫られそうだ。
SOMPOインスティチュート・プラスの小池理人上級研究員は、「1-3月期の数字が変わると翌年度の見通しも変わることにもなりかねない」と指摘。その上で、経済見通しが下がる中で利上げや国債買い入れの大幅減額は整合性が取りにくいとし、「このタイミングで数字が変わってくるのは普段よりも影響が大きいのではないか」と語った。
GDPの修正について内閣府担当者は、「引き続き社会の重要な情報基盤である公的統計の品質向上に向けた取り組みが重要であると認識しており、内閣府としても関係省庁と連携しつつ取り組んでいく」と語った。
第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストは1日付リポートで、今回のGDPの修正は「異例だらけ」と指摘。景気が従来の認識以上に停滞していたことが確認された状況で「あえて国債購入の減額と利上げの同時決定に踏み切ることができるかどうか。今回の改定が7月会合での決定に微妙な影響を与える可能性も否定できない」と記した。
ブルームバーグの最新のエコノミスト調査によると、43人のエコノミストのうち33%が7月会合での利上げを予想。一方、44%は国債減額計画の決定によって7月の利上げの可能性は低下したとみている。