震災の後遺症を癒す「シマネからの手紙」 5年後に生まれた「小さなつながり」
「しまねいき」のバスを走らせたい
ツアーが終わった後、吉岡さんはさっそく筆を執り、SAKUYAさんへお礼の手紙を書いた。あわせて、島根県の地図や自分が住んでいる益田市のパンフレットも封筒に入れた。自分のおすすめの場所を書き込むなど、「離れていても想像できるように」との思いを込めた。 「手紙をもらったよ!」。SAKUYAさんから嬉しい報告を受けたのは、ツアーのコーディネートを行った石巻市の落合さんだ。 「新たなつながりが生まれたことが本当に嬉しかった。ツアーに参加した人たちにとって、石巻のことを知る、つながることが必要だったんだと思う。今度は石巻の人たちに『島根っていいところだね』と思ってもらえるように、『しまねいきのバス』を走らせたい」 落合さんはこう語った。 SAKUYAさんは今、吉岡さんへの返事の手紙を書くために、地元を紹介するパンフレットを集めている。SAKUYAさんとメールのやりとりもしているという吉岡さんは、彼女からの言葉が「手紙」で届くことを心待ちにしている。 「お互い遠く離れていて、行き来することは難しいかもしれないけれど、いつか島根に来てもらえたらって思うんです。これからもこんな風につながっていければ、SAKUYAさんにとっても、私にとっても、良い関係を築くことができそうだなと思っています」 (この記事はジャーナリストキャンプ2016石巻の作品です。執筆:澤千絵)
澤千絵