旭化成・小堀秀毅会長「誠実さを守りながら、サプライヤーと成長していくことが重要」
◇◇◇取材を終えて◇◇◇
中小企業の価格転嫁が浸透しない背景に「取引担当者の認識不足」という要因が大きく関わっていることが日商の調査結果でわかり、小堀氏が旭化成で実施している従業員の価格転嫁への認識の向上は、非常に重要な取り組みであると感じた。大企業の従業員が「価格転嫁を行うことが、取引先を含めたサプライチェーン全体の利益であり、それが自社への貢献でもある」という認識を持つ。経営側と労働側が、そのように認識を一致させれば、価格転嫁は進みやすいだろう。大企業は取引価格を押さえ込んで目先の利益を増やすことよりも、サプライチェーン全体で価格転嫁、賃上げ、生産性向上、イノベーションと進むことの方が、飛躍的に利益を拡大させる、そういった成功事例が目立つようになり、日本の競争力強化につながることを期待したい。